第21話 罪と罰
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輩が絶えなかったとか。心中、痛み入りますな。全く、これだから底辺の高校は……。優璃お嬢様ならば、より相応しい進学先があったでしょうに」
「……」
そんな彼女の胸中に気づく気配もなく、男は五野高の生徒達について言及し始めた。
――彼の言葉自体は概ね事実ではあるが、信頼できる友人がいることもまた事実。それなのに、あの学校の生徒達をまとめて否定されているように感じ、優璃は露骨に顔を顰める。
だが、そのサインすらも見落としてしまった男は、さらに言及を重ね――「地雷」を踏んでしまった。
「しかも噂に聞くところ、今もあなた様の学校には、身分の差というものを弁えずに言い寄る悪辣な生徒が居るとか。しかも、その生徒は確か……そう、所謂『オタク』という理解しがたい低俗な趣味嗜好の持ち主だそうですな」
「……!」
「全く……程度の低い一般人には、もう少し自分達との住む世界の違い、というものを知って貰わなくてはならない。優璃お嬢様に悪い影響を与えかねませんからね」
「……」
噂はあくまで噂。ではあるが、その噂が誰を指したものであるかに気づいた優璃は、目を伏せ肩を震わせる。
自分が大好きなものを大切にしてくれる、最愛の少年を否定する男達。そんな彼らに向けられた優璃の怒りは、この一瞬で氷点下を通り過ぎていた。
「おっと、もうこんな時間ですか。このあと、我が社の新商品の発表があるのですが……いかがでしょう、是非ご一緒に――」
「大変申し訳ありません、他の方々にもご挨拶に伺わねばなりませんから。では、失礼します」
「あっ……そ、そうですか、それでは……」
そして、冷たく低い声色で男の誘いを拒絶し、彼女は幼馴染と共に早歩きでその場を離れていく。
普通なら、ここからしつこく付きまとっていくものだが――優璃の眼から感じた、言い知れぬ威圧感に負け。男は一歩も身動きが取れないまま、去りゆく彼女達を見送ってしまうのだった。
「……利佐子。あとであの会社、調べておいて。お父様に言いつけるから」
「いえ、旦那様のお手を煩わせる必要はありません。……私の方から、きつくお灸を据えておきましょう」
「手荒にならないように、ね」
一方。ツカツカと会場内を歩みながら、優璃は冷たい声色のまま利佐子に「制裁」を命じていた。それを受けて利佐子は先ほど以上の、暗黒を秘めた微笑を浮かべている。
優璃達の前で五野高を否定した、あの男が見えなくなるまで離れた時。窓辺にたどり着いた彼女達はようやく、一時的に殺気を抑え、ため息をつくのだった。
やがて優璃は、ドレスの胸元から――この場には到底そぐわない「携帯ゲーム機」を取り出すと。手にしたハンカチで手入れを始めた。
「……飛香君、今頃どうしてるかなぁ」
日本有数の職人の手で
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