第21話 罪と罰
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なぁ。その歳と言えば、法律上結婚も出来る年齢。優璃様も立派な女性になられた、ということでしょう」
「ささやかなものですが、私からもお祝いの品を贈呈したく存じます、優璃様。今後とも、弊社をご贔屓に……」
美辞麗句と高価な造花を次々と贈る、端正な佇まいの男達。一般家庭の少女なら、立ち所に魅了されてしまいそうな彼らだが……当の優璃は、見飽きたとばかりにため息をついている。
「はい、皆様も私のためにご足労頂き、ありがとうございます。今宵は是非、楽しんでいってください」
取り繕うような笑顔でそれを隠しつつ、優璃は利佐子と共に自然な足取りでその場を離れていく。
――それまで溜め込んでいたものを吐露するように大きく息を吐き出したのは、男達の群れから逃れて間も無くのことだった。
「……はぁ、疲れる〜……。ねぇ利佐子、あとは任せてもいい……?」
「いけませんよお嬢様。あと23件、挨拶回りが残っています。それにまだ、15件目の見合いの断りが済んでいません」
「ふぇえ……利佐子の鬼ぃ……」
「こればかりは仕方ありませんよ。お嬢様の口からはっきり断って頂かなくては、勘違いした殿方が勝手に話を進めかねません」
優璃は今にも会場の外へと逃げ出しそうであるが……隣に控えていた利佐子が、そうはさせじと身を乗り出してくる。
「う〜……」
「ふふ、でもご安心ください。いざとはれば私が、きゅうっとお灸を据えて差し上げますから」
「……わ、わかったよ。行く、行くから手荒なことはしないでね?」
参加者達への気遣いに疲れ果てた優璃に、利佐子は励ますように穏やかな微笑を浮かべる。だが、その眼は全く笑っておらず、彼女の身体からは暗黒のオーラが滲み出ていた。
こうなった時の利佐子は、宗生にビンタした時とは比にならないほど容赦がないことを、優璃はよく知っている。放っておけば、御曹司達がどうなるかわからない。
それゆえ、どうにか穏便に済まそうと、冷や汗をかきつつ説得を試みるのだが……利佐子自身はそんな優璃の様子を楽しむかのように、くすくすと笑っていた。
「……私は、飛香君にこそ来て欲しかったのになぁ」
「……そう仰るのも237回目になりますよ、お嬢様。何度口にされても、仕方がないんです」
「うん……それはわかってるけどさ……」
「飛香さんをお呼びしても、場所が場所ですから悪目立ちしてしまうかも知れません。そうなった時に苦労されるのは、目立つことを好まれない飛香さんなのですから」
その時。優璃はこんな時にこそ会いたい、とばかりに想い人の名前を口に出した。何百回とそれを聞かされて来た利佐子はため息と共に、嗜めるように優璃の前で人差し指を立てる。
Rの動向を普段から観察し、その人柄を日々調べ続けている彼女は、優璃以上
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