第19話 創造主の破壊
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声がこの場に響き渡る。だが、その内容はあの時とは違うものだった。
――それはこのログアウトが、FBI解析班によるハッキングとは別の強制力によるものという証。
「……」
アナウンスを耳にして、Rはアレクサンダーが居た場所を一瞥する。果たして、自分は間に合ったのだろうか。そう、問いかけるかのように。
そんな答えなど、この夢から覚めねばわかるはずもないと、知りながら。
「ソフィア……ごめん、ごめんな」
もし、駄目だったら。そんな考えが過ると、そう呟いてしまう。
――Rは、そのような自分を嘲るように笑いながら。眩い輝きの中に消えて行き……やがて。
この世界と共に。仮想空間から、その姿を消し去るのだった。
◇
「あっ……!?」
――そして。次に目が醒め、視界に「景色」が映る時。
Rの眼前には、こちらを覗き込む絶世の美少女。突如眠りから覚めた想い人と視線が交わり、彼女――伊犂江優璃は暫し目を剥き呆然となる。
それは、彼女の隣で目覚めを祈り続けていた蟻田利佐子も同様だった。周囲のクラスメート達や教師陣も、Rに注目している。
「あ、すか……君……」
「飛香さん……!」
「……」
そんな彼らと、瞬きする間も惜しむようにこちらを凝視する優璃を見遣り。Rは、自分があの世界から目覚めたことを悟る。
――ユリアヌとネクサリーは、自分を飛香と呼んだ。そう、彼女達はもうNPCなどではない。伊犂江優璃と、蟻田利佐子なのだと。
(真殿君、信太、俊史、みんな……)
そんな彼女達を含む、先にログアウトを果たした人々。その顔触れの中から、Rはあの世界で共に戦った仲間達を見つけた。
――そして。もう、あの世界で知り合ったユリアヌやネクサリー、テイガートに会うことはないのだと、理解する。
(……でも)
しかし、悲しみは無い。今ここにいる彼女達は、あの時共に戦った彼女達は、確かに生きている。あのデスゲームから、共に生き延びているのだから。
そう。R達は全員、誰一人欠けることなく、あの世界から帰ってくることができたのだ。だからきっと、悲しくなどないのだと――Rは信じていた。
「あ、あぁああっ……! 飛香君っ……飛香君、飛香君っ……!」
「飛香さんっ……! よかった……!」
「や、やった! やっとRが起きたぞ!」
「やったんだねっ! これで全員生還なんだねっ!」
――その一方。Rが目覚めたことに、ようやく思考が追いついた優璃は、止めどなく涙を溢れさせ、想い人にしがみつく。利佐子も胸に手を当て、感涙を頬に伝わせていた。
そうして、学園のアイドル達が肩を震わせている後ろでは、信太や俊史が歓声を上げていた。周囲のクラスメート達も、一人も死者が出
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