第19話 創造主の破壊
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ているなら負けることはない。
そう、もう奇跡は起きない。
勝敗が覆ることはない。
「ははは……ははははァはァッ!」
そう信じて疑わない彼は、
『Third generation!! Ignition drive!!』
「……は」
見過ごしていた。
最後の気力を振り絞り、身を起こしたグランタロトが。ブレイブドライバーのボタンを押し込み……「大技」を発動していたことに。
――そう。この戦いの中で、グランタロトだけはまだ。
一発限りの「大技」を、使っていないのだ。
「は、はは、はぁッ!?」
一瞬でギルフォードから嗤いが消し飛び、ディアボロトの挙動が不自然なものになる。仮想世界の僭王は、今まさにその威光を剥がされようとしていた。
ディアボロトの方がスペックで上回っているとはいえ、HP全損に近づいている今の状況で「大技」を喰らえば、どうなるか。そこまで理解が及んだ瞬間、ギルフォードはもう、普段の自分を保てなくなっていた。
「……」
片膝立ちの姿勢から、グランタロトはゆっくりと立ち上がっていく。額の角に集まり行く電光は、迸るように彼の体を駆け巡り……やがて、右脚の一点に収束していった。
「ま、待て、待て飛香R君! そこから動いてはいけないッ! 近づいてはッ!」
「……」
両手を振り、脚を震わせ、ディアボロトは後退る。わなわなと消滅の恐怖に凍えるその様は、もはや「甲冑勇者」の王と呼ぶには程遠い。
「私が望んだ終末は! エンディングは! こんなものではない! こ、こんなものであってはならないッ!」
「アレクサンダー、さん……ソフィア……」
ギルフォードの叫びは届かず。Rは譫言のように呟きながら、ゆっくりと前に歩いていく。その足元からは、紅い電光が己の力を持て余すように飛び散っていた。
仮面に隠されたその眼は、永く続いた激痛の嵐により朦朧となっていたが――混濁した意識の中でもなお、倒すべき仇敵を追い続けている。
「やめろ、くる、な。来るな、飛香R、来るなぁああぁあッ!」
仮面を隔てて、その眼に宿る絶対の殺意を感じ取ったギルフォードは、やがて踵を返して逃げ出していく。
マントに躓き、よたよたとふらつきながら。震える脚で、なんとか立ちながら。それは、王とは対極に等しい醜悪な姿であった。
「……おぉおぉあぁあぁあッ!」
――そして。命を燃やし尽くすが如く、雄叫びを上げて。
Rは地を蹴り飛び上がると、逃げ惑うディアボロトに天誅を下すかのように。
「やめろぉおぉおぉあぁあぁあッ!」
頭を抱え耳を塞ぎ、のたうつように走る僭王の背へ。電光を纏う飛び蹴りを、打ち込むのだった。
絶叫と共に、ディアボロ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ