第19話 創造主の破壊
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トを打ち据えた。
「がうァッ! ……うぉあぁああッ!」
「バ、バカな、こんな……!」
――だが。それでも、臙脂色の鎧騎士は動かない。吹き飛ばない。
ディアボロトが、何度グランヘンダーで斬られても動じていないように。グランタロトもまた、何度殴られても引き下がることなく、剣を振るい続けていた。
本来ならば一方的な戦いになるはずだった両者の対決は、いつしか超至近距離で互いの一撃をぶつけ合うインファイトへと発展している。
(バカな……ありえない! グランタロトが、ディアボロトと同等の土俵に立てるなどッ……!?)
剣と拳の、絶え間ない応酬。繰り返される轟音、衝撃音。
――データ上のスペック差に基づくなら、決してあり得ないその状況を目の前にして、冷静さを欠いていた彼は……何十回と斬られた今になって、ようやく気がついた。
「ぐ……ぅぅうあッ!」
「……!」
グランタロトは――Rは。
左手でディアボロトの肩を掴み、その場に踏み止まっているのだ。
彼は至近距離でディアボロトの拳を浴びながら、それでも一歩も引くことなく腕一本でしがみつき、ただひたすらにグランヘンダーを振るい続けていたのである。
(なっ……! こ、んなッ……!)
自分を吹き飛ばす相手に掴まり、間合いを離させない。そうすればダメージを受け続けるリスクと引き換えに、こちらも矢継ぎ早に攻撃ができる。
そんな至極単純なRの「捨て身」を、ようやく理解したギルフォードは。これほど簡単で、無謀な戦い方に翻弄されていた事実に愕然とし。
「――このガキがァアァアァッ!」
烈火の如き激昂が、衝き上がる。
この現象のカラクリに気づくや否や、ギルフォードは手刀でグランタロトの左手を弾き――その胸に高速の拳を叩き込んだ。
「がッ……!」
5倍の痛覚で幾度となく殴られ、それでも気力だけを頼りにしがみついていたRだったが――左手を狙われては、長く掴まってはいられない。
たまらず左手を離してしまったところに怒りの一撃を浴び、激しく吹き飛ばされてしまった。地を転がり、鎧の各部から火花が飛び散る。
「ぅ……がはッ……」
力無く倒れ伏した彼だったが……震える両手で身を起こそうと、なおも足掻き続ける。その身に変調が訪れたのは、次の瞬間だった。
「……!」
「はっ……はははは! どうやら、あなたの奮闘も、ここで終幕のようですね!」
全身が、半透明に点滅し始めたのである。HPの全損が近づいている証だ。
散々に追い詰められていた反動からか、それを目の当たりにしてギルフォードは高笑いを上げる。その眼は自らの勝利を確信し、敗者を蔑む……「狂人」にすら劣る、「俗物」の色を湛えていた。
――だが
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