第19話 創造主の破壊
[1/9]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
上段にグランヘンダーを構え、躙り寄るグランタロト。無謀な戦いに臨む英雄を前に、ディアボロト――ギルフォードは仮面の奥に嗤いを隠し。
「……面白い。どこまで、私の描く終末から逃れられるか……見せて頂きましょうか」
「逃げたりなんかしない。今この場で、叩き潰すッ!」
「……ッ!」
鋭い眼差しで、彼を射抜く。元海兵隊の直感が、この少年を危険な存在として認識しているのだ。
それを正解と告げるように。Rは素早い踏み込みから、一気にグランヘンダーを振り下ろした。先ほどまでより、さらに鋭さを増した斬撃が、ディアボロトに迫る。
「……!」
「――おぉおッ!」
白い帝王は片腕一本でそれを凌ぎ、振り抜かれるはずだった剣を静止させる……が。Rはその反動を利用して体を半回転させ、ディアボロトの腹に後ろ足で蹴りを叩き込む。
さらにその反作用を利用して、地を蹴るようにディアボロトの腹部を脚で押し込み、反撃が届かない距離を取った。
「……私のスーパーアーマーを利用する戦いに切り替えた、ということですか。しかし、いいのですか? そんなもたもたした戦い方では、1分などあっという間ですよ」
「……ッ!」
だがギルフォードの言う通り、ヒット&アウェイの戦法では、自身に及ぶダメージを抑える事は出来ても、時間を大きく浪費することになる。
――うまくやれば、いつかはギルフォードに勝てるだろう。だがその時は、アレクサンダーの脳はとうに焼かれている。
それを理解しているからこそ、一本取られた状況でありながら、ギルフォードは余裕を崩していないのだ。
Rに、この手段を続けることは出来ない。必ず焦りから、調子を狂わせ隙を生む。その時こそ、待ち侘びた悲劇が訪れるのだ……と。
「私の間合いに入らないギリギリで戦えば、確かに勝機はあるかも知れません。しかし、それではアレクサンダー・パーネルは助からない。しかし私の間合いに入っても、痛覚5倍の拳を浴びるだけ……困りましたね?」
「……」
どれほど勇んだところで、グランタロトに……飛香Rに勝機などありはしない。そう信じて疑わないギルフォードは、両手を広げて煽るように嗤う。
そんな彼を前にしたRは、剣を下ろすと……暫し、物思いに耽るように目を伏せた。
(……近づかなければ、時間内に彼のHPを全損させることなんて、出来ない。全損させないと、アレクサンダーさんは助からない。……答えなら、分かっているじゃないか)
そして。
決意と共に、顔を上げると。
「……おぉおぉぉおぉおッ!」
火を吐くが如き、雄叫びと共に。仮面に隠された瞳に、覚悟の色を灯して。Rはグランヘンダーを振り上げ、真っ向からディアボロトに猛進して行った。
「……ッ!?」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ