第18話 天上への導き
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勝てないし逃げられない。なら、最期の抵抗というものを見届けてやるのも一興か。
そんなギルフォードの驕りが、透けて見えるようだった。ディアボロトの仮面で貌は隠れていても、その態度が仕草に大きく現れている。
(アレクサンダーさん……ソフィア!)
その様子を見遣るRは。
決意を固めるように、目の色を変える。人を救うために、人を殺す。矛盾に満ちたそのエゴを、実行するために。
「……!?」
必ずやり遂げる。その覚悟が生む殺気が、迸った時。
元海兵隊の直感から、それを感知したギルフォードは初めて、頬に汗を伝せた。
「……ッ!」
――そんな彼と、鋭い視線を交わして。Rは、右手を額に当て……そこから、キリストの作法に倣い十字を切る。
かつてソフィアを天上へ送った神父が、葬儀の場でそうしていたように。
そう。これは、意思表示だ。
2年前から続いてきた、悪魔の研究に端を発する悲劇を終わらせ。ソフィアをはじめとする、犠牲者達の魂を鎮め。
――そしてこれより。アドルフ・ギルフォードを、天上に送るという。
「……発動ッ!」
「……!」
そうして。ギルフォードに、死と冥福を祈るように……十字を切り終えた瞬間。Rは「変身」するためのボタンを押し、その全身を輝きの中に包み隠してしまった。
「……これが、最期のコンティニューだ」
やがて。
輝きの中から顕現したグランタロトが、グランヘンダーを手にして……再び、ディアボロトの前に立ちはだかる。
今までとは、まるで気迫が違うその立ち姿に――ギルフォードは、かつてない威圧感を覚えていた。
そして、理解していた。
この少年は、迅速に殺さねばならないと。
「……では、改めて。あなたの幕引きを、最高の悲劇で彩るとしましょうか」
「誰の幕も、あなたには引かせない。あなたの物語は……ここで終わりだッ!」
やがてグランタロトとディアボロトは、逆巻く炎に囲まれながら、互いを近接戦闘の間合いで捉える。
消滅が迫る電脳空間を舞台に。
2人の「甲冑勇者」が今――雌雄を決しようとしていた。
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