第18話 天上への導き
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ることなく悠然と歩み出す。炎を掻き分け、Rにとどめを刺すために。
そんな仇敵に対し――Rはふらつきながらも、しっかりと両足で立ち上がると。痛みに震える手で、ブレイブドライバーを握り締めた。
「……逃げずに戦うつもりですか? えぇ、いいですとも。その方が実にあなたらしい。強制ログアウトで逃げるより、よほど……」
「……強制ログアウトなんて、待っていられないからな」
「待って……いられない?」
この絶望的な状況でありながら、なおも立ち上がり、戦う姿勢まで見せるRに対し、ギルフォードは大仰に手を広げて賛辞を送る。
――だが。Rの言葉に、初めて彼は笑みを止めた。
強制ログアウトという、自分一人だけでも生き延びられる最後の希望に対し、「待っていられない」と言い放つ彼の真意が読めなかったのだ。
恥も外聞もなく、剣を捨てて必死に逃げ回れば……あるいは、強制ログアウトに助けられる可能性もあるというのに。
そんなギルフォードをよそに、Rは再びブレイブドライバーを腰に装着する。この時、彼の脳裏にはアレクサンダーが残した言葉が残されていた。
『アバターが死亡してから、1分。そのタイムラグを経て、電磁パルスが我々の脳を殺す』
(……それならアレクサンダーさんのヘブンダイバーが、電磁パルスを発動させるまでの1分の間に……この世界のホストであるギルフォードを消滅させて、ゲームを強制終了させるしかない)
この世界は、ギルフォードがホストとしてゲームを主導することにより形成されている。すでに彼はゲームマスターの権限を失っているが……それでも、元を辿ればゲームの主軸となる「ホスト」であることに違いはない。
つまり、ゲームシェアリングの際にホストの通信が切れればゲーム自体が解散してしまうように……この世界自体を、ギルフォードの消滅に連動させて、消してしまうことも出来る。
――だがそれは、この世界でしか生きられないギルフォードを、完全に「抹殺」することを意味していた。
ゲームに恋人を殺された自分が、今度はゲームで人を殺そうとしている。その罪深さを知りながら――なおもRは、この決意を翻すことなく、ギルフォードと対峙していた。
「……強制ログアウトが作動するより先に、私を倒してゲーム自体を強制終了させる……ということですかな?」
「……外部が助けてくれるまでの間、アレクサンダーさんの脳が無事である保証は、ないからな」
「そうですか……ふふっ、いいでしょう。どうせ最期なのですから、気が済むまで……お好きなようにされるといいでしょう」
やがてRの意図を読んだギルフォードは。圧倒的優位に立っているがゆえの余裕から、彼の決断を悠々と見つめている。
――今さら何をしようと、自分には
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