第17話 帝王の裁き
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、美しい。これ、これですよ。私が最期に見たかった、素晴らしい英雄の、終わりは……」
感慨に耽るように、拳を握り締めるギルフォード。純白の鎧と仮面に、滾る狂気を覆い隠した彼は――やがて、ドライバーの赤いボタンに指先を伸ばす。
その箇所には、「発射ボタン」と書かれていた。
「……ですが、いつまでも遊んでいては強制ログアウトで逃げられてしまいますからね。人生最期の愉しみを、早々に切り上げてしまうのは忍びないですが……本末転倒な事態は避けたい」
「……!?」
「よって。全てをここで、終わらせるとしましょうか」
――破滅願望の権化は、その欲望のままに。赤いボタンを、押し込んだ。
『First generation!! Ignition break!!』
刹那。ディアボロトの右拳が、真紅の灼熱を纏い――この一帯の景色を、蜃気楼の如く揺らめかせる。
かなりの距離があるというのに、焼け付くような熱気の勢いは、R達にまで及んでいた。
「……!? なんてッ……熱さだ!」
「火傷、痛いですよねぇ。痛覚5倍の状態から、焼きごてを押し付けられる気分を味わえますよ。さぞや、素敵な最期を飾れることでしょう」
ギルフォードの言葉通りの現象が起きるなら――例え現実世界の肉体に影響がなくとも、確実に当人の精神に異常を来す。
並の人間が味わえば、廃人化は免れない。そしてそれは、人間としての「死」と同義である。
仮想と現実の壁さえ超え、命を奪うギルフォードの「芸術」。その真髄を目の当たりにして、Rとアレクサンダーは己を狂わせる「怒り」と「戦慄」を同時に味わっていた。
「残念でしたね。あなた方は、逃げ切れなかった。頼もしい仲間達と共に戦い、邪悪な魂を宿した剣を打ち破った英雄は――最期に」
そんな彼らに向けて……ディアボロトは、突き上がるような嗤いと共に。
「世界の創造者に! 神に! 見放され! 果敢に戦うも……儚く! 散りゆくのでしたァッ!」
右手の鉄拳を、勢いよく突き出し。そこに集中していた灼熱は、真紅の火球へと変貌すると――持ち主の拳を離れ、火炎の砲弾となっていった。
その弾頭が向かう先で、Rは……ただ死を待つことを良しとせず。ふらつきながらも片膝をついて立ち上がり、震える指先で「大技」の発動ボタンに触れた。
(……オレの、「大技」で迎え撃つしか……ない。オレは間違いなく直撃するけど……でも、少しでもアレクサンダーさんから遠いところで命中させれば……ッ!?)
高速の飛び蹴りで、真っ向から火炎砲弾に激突し、より早く爆発させれば。自分は間違いなく地獄の業火を味わうことになるが――アレクサンダーに及ぶ熱気の余波
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ