第17話 帝王の裁き
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ま、ギルフォードは二人の体を同時に引き寄せる。予期せぬ攻撃に出られた彼らは反応が間に合わず、前方に体重を傾けてしまった。
「がッ……!?」
「うぁッ!」
そんな大きな隙を、この至近距離で突かれないはずもなく。
ディアボロトは両腕を引き寄せた体勢から、自分の方へ傾く二人の腹に拳を突き込むのだった。
「あがあぁあッ!」
「うぁああッ!」
激しい衝撃音を響かせて、二人は数メートルほど吹き飛ばされてしまう。地に落ち、床を転がる彼らは……暫し、全身に迸る激痛に呻き続けていた。
「な、んだ……! この、痛み……!」
「『甲冑勇者』に変身しているはずの我々に、これほどダメージによる痛みを……!」
単に攻撃力が高いというだけで、これほどの痛みになるというのか。そんな疑問が浮き上がるほど、彼らの全身を貫いた痛覚の濁流は、凄まじい勢いだったのだ。
(……まさか!?)
やがて二人が、その答えに辿り着いた時。ギルフォードは仮面の奥で嗤いを噛み殺し、その答えを肯定する。
「……あなた方が思った通り、ですよ。この『原始勇者ディアボロト』の鎧には、最上位のスーパーアーマーだけでなく――攻撃対象に与える痛覚を、5倍に引き上げる特殊スキルがあるのです」
「5倍……!?」
「私の鎧に得物など、不要。この拳、この体そのものが、あなた方で云う『宝剣』そのものなのですから……」
くっくっ……と、噛み締めた口元から、笑みを零し。ギルフォードはマントを揺らしながら、じりじりと二人に迫る。
「しかも。このディアボロトは、装着者への痛覚を遮断するスキルも備えているのです。いくらあなた方が攻撃してきても、私には何の痛みもないのですよ」
「ぐ……!」
Rとアレクサンダーは、剣を杖に立ち上がりながら構え直すが――身心に受けたダメージは尋常ではなく、先ほどのように強くは踏み込めなくなっていた。
「ふふふ、そうですかそうですか。あなた方でも『痛み』は怖いですか。そうでしょうそうでしょう、怖いでしょう。なにせ最悪の場合、HPを全損してアバターが死亡する前に壊れてしまう可能性もあるのですから。いいのですよ、泣いて喚いても。どうせ誰も見てはいないし、いたとしても死にゆくあなた方には関係のないこと……」
「貴様ッ……!」
「さぁ……まずは、FBIの忠犬君。あなたから、泣き叫んで頂きましょうか。……そうやって、助けを求めながら死んでいった妹のように」
「……ッ!」
「――ふざけるなァッ!」
そんな二人を煽るように、両手を大仰に広げるギルフォード。敢えて無防備な体勢を見せ、ソフィアの死にまで言及した彼の言葉に、アレクサンダーは激しく昂ぶった。
あの短時間でアレクサンダーのことを調べたのか――と
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