暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
第16話 白銀の帝王
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
なた方……特に、そこの捜査官。全ての命が灰燼と帰す感動的瞬間に、水を差したあなたには、とびきりの返礼をせねばなりませんね」
「……やれるのか? もはやただの一プレイヤーでしかなくなった、貴様に」
「命を灰燼……じゃあやっぱり、あのログアウトボタンは……!」
「そう……奴は『物語』を終わらせた君に、君を含む全ての人間を殺させようとしていたんだ」

 「甲冑勇者」という、この電脳空間における絶対的な暴力。その力を振りかざそうとしている老紳士を前に、Rは唇を噛み締める。どこまで人々をおもちゃにしようというのか――と。

「……あなたはッ……!」
「飛香R君。私の人生を懸けた英雄譚を、完成直前まで進めてくれたことに免じて……今すぐ私の側につけば、ログアウトの時まで生かしておいて差し上げますよ?」
「……オレ達皆を殺そうとして、よくもそんなことを」
「あの時はまだ、私はゲームマスターでしたからねぇ。しかし今となっては、ただのプレイヤーでしかない。そんな私としては、差し違えてもその男だけは殺したいのですよ。あの時とは違います……約束は守りますよ」

 白々しくも、ギルフォードはRに甘い言葉で囁こうとする。だが、真実を知ったRが出せる答えは、一つだった。

「……失ったものは、もう、帰ってこない。人も、信頼も。それはあなたも、知っているはずだ」
「そうですか……なら、仕方ありませんね」

 それを受け。ギルフォードは、分かりきっていた言葉を聞きほくそ笑むと――「電源」と書かれたスイッチを指先で入力する。

「――発動」

 その直後に出てきた言葉は、いわば彼らへの死刑宣告だったのだろう。一瞬にして、ギルフォードの全身を包んだ輝きの中から――新たな「甲冑勇者」が現れる。

 バーゴネットの鉄仮面や、フルプレートアーマーで固められた全身は、全て純白に塗装されている。
 そんな無骨な鎧姿である一方で、襟を立てたオレンジ色のマントを纏ってもいた。鮮やかにマントを翻すその姿は、無用な飾り気を要さない武闘派の「王」のようだ。
 さらに――紳士服に隠されていた、ギルフォードの肉体を強調するかのように。その鎧は、内側から漲る力により張り詰めていた。

Set up(セタップ)!! First(ファースト) generation(ジェネレーション)!!』

 そんな中、「変身」の完了を告げる電子音声が鳴り響き。ギルフォードは拳を握ると、改めて2人と対峙する。
 ――これから殺す、彼ら2人と。

「さぁ……始めましょうか。あなた達の命で飾る、この世界の終末を」
「……R君ッ!」
「わかってる……!」

 これが、真の最終決戦となる。
 「原始勇者(げんしゆうしゃ)ディアボロト」と相対したRとアレクサンダーは、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ