第16話 白銀の帝王
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老紳士と対峙していた。
険しい面持ちで睨みつける彼らに対し、ギルフォードは普段と変わらない涼しげな面持ちだが……その眼だけは、衝き上げるような憤怒の色に染まっている。
「……NPCに成りすまし、私を欺きながらこの世界を解析していたのですね。まさか、物語の感動的な幕引きを前に……全てを台無しにされるとは、夢にも思いませんでしたよ」
「……生憎だったな。貴様のくだらん劇は終わりだ。じきに、我々のアバターもログアウトされる」
静かな口調からは想像もつかない、圧倒的な殺意。それを真っ向から浴びてなおも、アレクサンダーは怯むことなく毅然と言い放つ。
――もう、ゲームは終わったのだと。
「それを私が許すと思いますか? この世界の創造主にして、神である私が」
「すでに貴様からはゲームマスターの権限が失われている。もはや貴様など、神を僭称する紛い物に過ぎん」
そんな彼の力強い言葉を耳にしても、ギルフォードに怯む気配はない。そればかりか、さらに内に秘めた黒い激情を掻き立てるかのように、皺の寄った貌を歪ませていく。
「……確かに。もはや私の体は、この世界におけるキャラクターのアバターに過ぎない。あなた方と同じ、消えゆく存在……」
「……っ!」
「ですが……その前に、あなた方を消せる道具を持ち出すことには成功しているのですよ」
――やがて。彼はステッキを投げ捨て、懐に手を伸ばすと。
そこから、「ある物」を引き出してきた。
「……!?」
その形状にRは瞠目し、アレクサンダーはより険しい面持ちとなる。
濃いオレンジで塗装された長方形。その中央には白く塗られた四角形のスペースがあり、その中には幾つものボタンが並べられていた。
さらに長方形の両端には、黒塗りのボリュームタイプのつまみが備え付けられている。
――それはまるで、70年代のゲーム機のようだった。
そう。彼の手中に在るそれは……Rとアレクサンダーが持つ「神具」に通じる、ファンタジー世界にそぐわない代物だったのだ。
「あれは……ブレイブドライバー!?」
「……あの世界のシナリオに、実装されていなかったドライバーか」
「ほう、さすがはFBI。この個体の情報もサーチしていましたか。……なら、わかるでしょう? ゲームにならないという理由でお蔵入りになった、この鎧の力を」
その言葉に、アレクサンダーは息を飲む。ゲームにならない――それは、ゲームバランスが崩壊するほどの性能であることを意味していた。
それを理解している彼の、焦燥の表情を眺めるギルフォードは……歪に口元を吊り上げながら、手にしたドライバーを丹田に当てる。
やがて、その両端からベルトが伸び――彼の腰に巻き付いた。
「あ
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