第16話 白銀の帝王
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ようだ。
「……鷹山さん。あなたは決して、言ってはならないことを言いましたね」
「な、なんっ……ぶげっ!」
怒りが一周し、氷点下の如く冷たい表情となった利佐子が、ツカツカと宗生の前に歩み寄り――空を裂く速さで、平手打ちを放った。
宗生と利佐子には、大人と子供のような体格差があるはずだが……彼女の平手は、その差を覆すほどの威力だったらしい。思わず周囲が怯んでしまうほどの激しい轟音が響くと――宗生は目を回して、膝から崩れ落ちてしまった。
白目を剥いて失神してしまった彼の有様を目にして、男子達は顔面蒼白となり利佐子を見遣る。そんな彼らに、「学園の天使」は冷酷な視線を注いだ。
「……下らないことしか喋れないなら、その口は閉じていてください。黙らせる手間が省けますから」
逆らえば、死。そう思わせてしまう眼光を浴びて、Rを罵っていた男子達は揃ってコクコクと頷き、引き下がってしまった。
そんな「学園の天使」の真の怒りを目にして、大雅や女子達も息を飲む。信太と俊史に至っては、ガタガタと奥歯を震わせていた。
「……お、恐ろしい」
「ぼ、僕、見ちゃいけないものを見たんじゃあ……」
「な、なにも見てないんだねっ……」
やがて利佐子は大雅達のほうを見遣ると、まるで何事もなかったかのように、普段と変わらない柔らかな笑みを浮かべ――睦都実の側を通り過ぎ、優璃の隣に向かった。
「……生徒への暴行を見過ごすわけにはいかないけれど。反省文は原稿用紙15枚から……14枚にまけてあげます」
「……はい。ご厚意に、感謝致します」
すれ違いざまに、僅かに言葉を交わして。
「り、利佐子……」
「ふふ。飛香さんの名誉をお守りするためなら……お安い御用ですよ、お嬢様。さ、お寝坊さんが目覚めるまで、ここで待っててあげましょうか」
「……うん、ありがとう。反省文、私も手伝うね……」
そんな幼馴染の、いつもと変わらない笑顔と共鳴するように。優璃は目覚めてから初めて、口元を緩めたのだった。
(……さて、解析班は間に合うだろうか)
――その一方。被害者達の動向を静観しつつ、五野高を代表する美少女2人に見守られている少年を見下ろす、キッド・アーヴィングは。
(パーネル捜査官。必ず彼を守り……そして、あなた自身も生き抜いてください。あなたの、そして俺達の戦いを終わらせるためにも……)
別室で眠りにつき、今も仮想空間で戦い続けている上司を含む――「全員」の生還を、ただ静かに祈っていた。
◇
――同時刻、インターフェース・エリア。
「アドルフ・ギルフォード……!」
「あなたが……!」
この電脳空間に取り残された飛香Rと、アレクサンダー・パーネルの2人は――諸悪の根源である
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