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Darkness spirits Online
第15話 男達の罪
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「……」
「認めざるを、得ないだろう。多くの人命が懸かっているこの状況下で……私情を挟んでいたことを」

 やがて口を開いたアレクサンダーは、Rと顔を向けあいながらも目線は合わせられず、罪悪感に滲む瞳を揺らしていた。

「怨んださ……君を。ソフィアの隣にいながら……私よりも近しいところにいながら、君は妹を守ってくれなかった。そんな君が『プレイヤー』だったのは、ある意味では僥倖だったのかも知れない」
「でも、あなたは……!」
「……そうとも。わかっている。ギルフォードを追う任務に没頭し、気づけば……何よりも護らねばならない家族を、喪っていた。己の罪と向き合うことを恐れるあまり、任務に逃げ葬儀にも来なかった……」

 やはり、ソフィアを独りにしていた頃の彼は、当時からギルフォードを追っていたらしい。二年前の真実に辿り着き、Rは怒りとも悲しみとも付かない表情でアレクサンダーを見つめていた。
 ――確かに彼は、信太と俊史をRと戦うよう仕向け、優璃や利佐子、大雅に危害を加えようとした。だが、その胸中は察するに余りある。

「……君も私も、許しがたい罪を背負って今日まで生きてきた。だが……私達が互いを裁き合うなど、あの子は決して望まないだろう。……故に私の復讐は、君に敗れたあの瞬間に、終わったのだ」
「アレクサンダー……さん」
「もし君が、自分が生き延びるためだけに他者を斬り捨てるような男だったなら。私も、心置き無く戦えていたかも知れんな」

 すると。Rを見つめるアレクサンダーの眼が――今までとは打って変わり、優しげな色を帯びる。

「だが……君は違った。君は、そんな男ではなかった。痛みを伴うゲームのリスクを知りながら、それでも誰一人としてNPCを死なせないために戦い――強制ログアウトの成功まで、不殺(ノーキル)を貫き全員の生還へと繋げてみせた」
「……」
「我々FBIにとっての誤算は、奴の『キャスティング』に介入できなかったことだ。本来ならば私が『プレイヤー』となり、FBI解析班がハッキングしてくるまで時間を稼ぐつもりだったのだが……」
「……そういえば、なんであなたはギルフォードの洗脳下に置かれなかったんだ? いくらFBI捜査官だからって……」

 Rの問い掛けに対し、アレクサンダーは自分の頭を指先で小突いて応えて見せた。

「……私はゲームに参加させられても奴の洗脳下に置かれないよう、予め脳髄に特殊な対電脳チップを埋め込んでいる。奴が過去に起こしたサイバーテロからデータを取り、それを元に開発したものだ」
「ヘブンダイバーを被せられても、脳への影響を抑えられる……ということなのか? そんなものが作られていたなんて……」
「ああ。だが、あくまで試作品でしかなく……奴から『キャスティング』の権限を奪うには至らなか
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