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Darkness spirits Online
第15話 男達の罪
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……!?」

 どうやら、ギルフォードは自分が追求する「演出」のためならば、自分についてきた同胞すら容易く切り捨ててしまえるらしい。
 そんな話を聞かされたRは、あの老紳士の笑みに隠された狂気に、尋常ならざる戦慄を覚えるのだった。

「だが、そんなふざけた演劇も終わりだ。私が『オーヴェル』を演じながら解析した『DSO』のデータは、全て外部に送信され――あちら側からのハッキングによる強制ログアウトに成功した」
「それであの光が……じゃあやっぱり、みんなはもう?」
「ああ、そこは安心していい。君以外の民間人は全員ログアウトに成功したと、先程連絡が入った」
「……そうか……」

 少なくとも、優璃や信太達の無事は確定したようだ。現実世界のギルフォード達がすでに死亡しているなら、再び狙われることもない。
 Rはその情報を耳にして、僅かな間だけ胸を撫で下ろし――即座に剣呑な面持ちを取り戻すと、アレクサンダーと視線を交わす。
 自分達が生きてこの世界から抜け出さなくては、優璃達の無事を自分の眼で確かめることさえ叶わないのだから。

「ギルフォードに洗脳されている彼らを後回しにすれば、『物語』を崩壊させられたことで逆上したギルフォードに、なす術なく殺害される可能性がある。確実に彼らを救い出すには、奴の洗脳下にない我々二人を後回しにせざるを得なかったのだ」
「……自衛能力がどうの、って聞いたけど。やはりあなたが言うように、ギルフォードがこのエリアまで襲ってくる可能性があると?」
「十分にあり得る話だ。外部からのハッキングにより、ゲームマスターとしての奴は大幅に弱体化しているが……この世界が奴の箱庭であることには違いない。今に我々を見つけて、道連れにしようとするだろう」
「彼と同じ、死人に……?」

 もし、ここまで来てギルフォードに殺害されるようなことになれば……自分達は脳髄を焼かれ現実で死亡してしまう。ギルフォードと違い、電脳空間で生きられるようなアバターも貰えないだろう。
 ――彼に倒されれば、現実世界でも仮想世界でも死ぬ。その事実が、Rの両肩にのしかかっていた。

「……そうさせないために、私がこうして残っているのだ。『甲冑勇者』であるとはいえ、一介の民間人でしかない君を、元の世界へ送り届けるためにな」
「……その割には、本気で殺しに掛かってるようにも見えたけど」
「君を殺そうとする『オーヴェル』を演じ切らねば、ギルフォードを欺き時間を稼ぐことはできなかった。早々に勘付かれては、強制ログアウトを仕掛ける前に乗員乗客を皆殺しにされる危険もあったからな」

 そこまで言葉を続けて。アレクサンダーは、Rから一度視線を外すと――自嘲の笑みを浮かべた。

「……と、言い切れれば……君の言い分を否定できたのだろうが……」

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