第15話 男達の罪
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、狂気の世界で。
そんな事実が常に纏わりついていたことを今になって知り、Rは肩を震わせた。
「……さっき、『戦いから最も遠い』って言ったけど……それで、オレ達が?」
「ああ。だが奴は、物語の姫君――そう、『ユリアヌ』の役だけは最初から決めていたようだ」
「……!?」
「そうだ……伊犂江優璃。彼女だけは、最初から奴の『キャスティング』に入っていたのだ」
「なっ……!?」
その時。アレクサンダーの口から飛び出た言葉に、Rはさらに衝撃を受ける。ギルフォードがR達五野高の生徒を狙った原因は、優璃だというのだ。
「伊犂江さんが……!? じゃあ、オレ達は……!」
「君達は、言ってしまうなら『その他』でしかなかったのだろうな。伊犂江優璃を『キャスティング』の中心に据えつつ、『物語』が成り立つ程度の人数が集まるタイミング……それが、一週間前のあの日だった」
林間学校で集まった五野高の生徒達が、新幹線に乗るタイミング。かなりの人数が密閉空間に集まり、伊犂江優璃もその中に含まれている場としては、確かに最適だったかも知れない。
優璃を狙いの中心としつつ、RPGの全NPC役を一挙に集められる場としては。
(オレ達と違って、伊犂江さんだけは最初から「配役」が固定されていた……。だから彼女だけ「本来の人柄」と「キャラクターの性格」が噛み合っていなかったのか……!)
――その真相を耳にして、Rの表情もより険しくなっていく。もし優璃がこの事実を知れば、心根の優しい彼女は、自分が騒動の中心にされていたことに責任を感じてしまうだろう。
彼女が真相を知ることなく生還できることを、祈るしかない。
「……でも、なんで伊犂江さんが……!?」
「2年前。伊犂江グループは、奴に『DSO』の開発費を提供していた。奴のアイデアや才能から、金になると踏んだのだろうな。……だが日本版の発売を視野に入れた矢先、殺人事件を誘発した『DSO』は発禁となり、伊犂江グループはあのゲームに関与していたことが公にならないよう、計画を白紙にした。悪魔の研究の片棒を担いでいながら、それを隠蔽したのだ」
「そんな……!」
「それゆえ。ギルフォードは自分を見放した伊犂江グループへの復讐として、令嬢である伊犂江優璃を『姫君』の役に据えようと考えていたようだ」
「ユリアヌの役を伊犂江さんに与えることが……あのギルフォードという男にとっての、復讐……?」
「復讐、というよりは当てつけに近いがな。……奴は自ら命を断ち、データ上の存在となりこの世界で生きながらえているようだが……催眠ガスを仕掛け、君達にヘブンダイバーを被せた実行犯である部下達のアバターは発見できなかった。恐らく、奴に騙されアバターすら与えられぬまま殺害されたのだろう」
「自分の部下まで
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