第15話 男達の罪
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た技術を生む『戦争』に端を発する文化こそ、最も美しい。……それが、奴の言い分らしい。奴は自分のグラフィック技術やAI技術を売り込み、アーヴィングコーポレーションに入社した。そして……『DSO』を作った」
嘲るように呟くアレクサンダーの口元は、微かに震えているようだった。だが、それは少なくとも恐れという感情によるものではない。
――あるのは、怒り。この悲劇と、愛する家族を奪った元凶への憎しみが、その眼に滲み出ているようだった。それを懸命に隠すかのように、口調だけは平静を保ち続けている。
「だが結局は、君も私も……よく知る通り。奴がリベンジを目指して開発した『DSO』は、海兵隊時代のVR訓練と同じ道を辿った。ゲーム開発からも追われた奴は行方を眩まし――最期に、この自爆テロを仕掛けてきた」
「自爆、テロ……?」
ギルフォードが己の生身を捨てて臨んだ自爆テロ。その途方も無い破滅願望に、Rは言い知れぬ不気味さを覚え顔を顰める。
「奴は……自分が創り上げた世界への拘りが特に強い傾向があり、それを周囲に認めさせようとする言動が絶えなかった。行く先々でそれを否定され自棄になった奴はついに、最期の手段に出た、ということだ」
「まさか、それが今回の……!?」
「そう。奴は第2車両の乗客乗員を催眠ガスで眠らせ、彼らをNPCとして洗脳し……かつて自分が創り上げた『DSO』を舞台にした『物語』を演出しようとしたのだ。戦いから最も遠い、平穏で暴力を知らない少年少女が――剣を取り、生きるために戦う……文字通り、命懸けの物語をな」
「命懸けって……まさか」
「そのまさかだ。奴は君達に被せたヘブンダイバーに、特殊なプログラムを組んでいたらしい。――この世界にいるアバターが死亡した場合、その主の脳髄を電磁パルスで焼き切るという、デスゲームの仕掛けをな」
「……!」
――もしや、とは思い続けていた。やはり、この世界は現実の死と直結したデスゲームだったのだ。
もしあの日、ダイナグとノアラグンの役を与えられていた信太と俊史を助けていなければ、どうなっていたのか。今となっては、想像したくもない。
「アバターが死亡してから、1分。そのタイムラグを経て、電磁パルスが我々の脳を殺す。――そうした本当の『死』と隣り合わせの世界が織り成す幻想の英雄譚を、死にゆく自分の眼に刻む。それが、ギルフォードの目的だったのだ」
「……そうか。やっぱり……オレ達は皆……」
自分達はギルフォードの破滅願望に付き合わされる形で、人間一人ひとりにキャラクターを演じさせる「劇」をやらされていた――ということになる。
プレイヤーが一歩間違えるたび、役割を演じているだけの人を本当に死なせてしまう
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