第15話 男達の罪
[6/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
していた。
『ご武運を、お祈りしていますよ。――あなたに、「名誉」と「勇気」……そして「献身」の精神があると信じて』
(……!)
確かに。あれは、海兵隊がモットーとする三つの言葉だった。やはりギルフォードは、海兵隊と繋がりを持っていたのだ。
「当時海兵隊では、最前線に向かう主力部隊の育成を目的とする、VR訓練の導入を検討していた。限りなく現実に近い仮想世界での、殺し合いをな」
「まさか、リアリティ・ペインシステムはそこで……!?」
「その通り。だが……あまりにリアル過ぎる奴のVRシステムにより、仮想と現実の境界を見失い殺人事件に発展する事案が頻発してな。結局、奴はほどなくして軍部を追放された」
「……!」
ギルフォードのゲーム開発は、軍事研究に端を発するものだというのか。そう視線で問い掛けるRに、アレクサンダーは無言で頷く。
「そのVR訓練の過程の一つに……互いに仮面で顔を隠し合い、近接格闘を死ぬまで続行するというものがあった。『殺害する対象の顔が見えるか否かによる、PTSD発症率の変動』を実験する目的でな」
「……仮面?」
「そう。痛みのある世界で殺し合いを強いるだけでなく――より実戦に近しい状況下で、訓練兵達を実験動物として扱う。……そんな狂った研究の一環だ」
「仮面で顔を見えなくして、より殺しやすい状況を模索する実験……まさか、それが……?」
「ああ。奴がこの世界に新要素として実装した『甲冑勇者』は、その実験過程を源流としたプログラムだ。『DSO』というファンタジー世界に合わせてアレンジされた、殺人実験の副産物。それが、この世界における『宝剣』の正体だ」
「……あのギルフォードという人にとって、オレ達が囚われていた『DSO』の世界は……ファンタジーゲームの皮を被った殺人実験場だったということなのか?」
「そうだ。仮面の概念をこの世界に流用したのも、よりスムーズに『プレイヤー』である君が、『ボスキャラ』であるオーヴェルを殺せるようにするため。私達が持っているグランタロトとベリアンタイトの仮面は、殺し合いを誘発するための舞台装置ということだ」
――基本的なゲームシステムだけでなく。Rにとっては単なる装備品でしかなかった『甲冑勇者』の力までもが、軍事研究から生まれた代物だった。
その事実に触れてRはようやく、自分が行使していた力の恐ろしさを知り――脳裏を過る恐怖を殺すように、拳を震わせた。
「そんなギルフォードが、軍部を追われた後に足を運んだのが……当時から話題を集めていたVRMMO。奴は己の研究を正当化するため、ゲーム開発という分野にリアリティ・ペインシステムを投入したのだ」
「軍事目的のシステムをゲームに……?」
「優れ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ