第15話 男達の罪
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O』開発主任であり、リアリティ・ペインシステムの考案者でもある男だ。そして、この一件の首謀者でもある」
「……!」
「二年前、奴は『DSO』発禁の直後に行方を眩まし、自分に心酔する部下達を連れて国外に逃亡していた。私はその行方を追う任務についていてな。……奴は別件で、『他のVRゲームをハッキングしてリアリティ・ペインシステムを仕込む』というサイバーテロに関わっていた。犯罪者となった奴を追うのが、我々の当初の目的だったのだが……」
「……当初?」
この一連の事件の首謀者であるという、老紳士――もとい、アドルフ・ギルフォード。その実態を知るアレクサンダーの言葉を、Rは緊迫した面持ちで聴き続ける。
「奴の眼をかいくぐり、NPCを演じながらこの世界のデータを解析している最中に……外部との交信に成功してな。先刻、現実世界の状況を知ることができた」
「……?」
「アドルフ・ギルフォード。奴は三日前に部下達共々――遺体で発見された。全員ヘブンダイバーを被っており、遺体には電磁パルスで脳髄を焼き切られた痕跡があったそうだ」
「な……!」
「奴は……奴らは最早、この世にいる『人間』ではない。自ら生身を捨て、電脳空間の意識の中でのみ生きる、データ上だけの存在となっている」
「そんなことが……!」
「奴らはそういう連中だということだ。……我々はもちろん、君達にとっても理解しがたい相手だろう」
あの老紳士は。すでに死人であり、この世には生きていない。
その事実に愕然とするRの眼を、アレクサンダーは静かに見据えている。
「……今の君達の体のことも話しておこうか。君達のクラスを含む第2車両。そこに乗り合わせていた乗員乗客85名は現在、東京の天坂総合病院で昏睡状態にある。ヘブンダイバーを被せられた状態でな」
「それは……」
「そう。ギルフォードと、その部下達の仕業だ。奴らは電磁パルスで自殺する前、君達が乗り合わせるタイミングで車内の空調機に催眠ガスを仕込み――君達全員を眠らせ、ヘブンダイバーを仕掛けた」
「……それでオレ達はみんな、あの世界に……でも、どうしてそんなことを……?」
「RPGの演出、だな」
「演出……?」
どうやら現実世界の自分達は全員、東京の病院で眠らされているようだ。やはりあの時、自分達はヘブンダイバーを被せられていたらしい。
「……まずは、判明している奴の情報から話そう。奴が作ったリアリティ・ペインシステムは元々、ゲーム開発のためのものではなかった」
「え……?」
「奴はアーヴィングコーポレーションに入る以前は……海兵隊に所属する研究員だったのだ」
「海兵隊!?」
アレクサンダーの言葉に、Rは瞠目し――この世界に導かれた日に、老紳士から聞かされた言葉を思い返
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