第15話 男達の罪
[2/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
っていた。
ゲームの大会で得た賞金で、Rはソフィアが見たいと言っていた花をプレゼントし。ソフィアはそんな彼に、VR世界で口付けを落とす。
――現実世界で実行するには恥ずかしいという理由だったのだが、それでもRには満ち足りた幸せとなっていた。
R個人の自己顕示欲から始まったプロゲーマーとしての一面は、ソフィアとの繋がりをより深いものに変えていくようになり――Rが求めた「自信」へと、昇華され始めていたのだ。
自分なら、どんなゲームでも優勝できる。自分なら、ソフィアのそばで彼女の笑顔を守ることができる。
この当時、彼は心から、そう信じていた。
――だが、二年前。
Rが最も得意とするVRMMOの最新作「Darkness spirits Online」の大会で、事件は起きた。
圧倒的なプレイヤースキルを駆使して、いつものように優勝をさらったRだったが――彼に倒された参加者がPTSDを発症し、狂乱の果てに表彰式で彼に襲い掛かるという事態が発生したのだ。
自分に死ぬほどの痛みを味合わせた少年が、自分が立つはずだった場所に居座っている――という事実への憎悪が、彼を凶行へと駆り立てたのである。
駆け付けた警備員により事なきは得たものの……「DSO」の特性であるリアリティ・ペインシステムの影響は、この一件を通じてより広く知れ渡ることとなった。
――しかし。アーヴィングコーポレーション渾身の大作として発売された「DSO」は、すでに多くのユーザーを得ていた。このゲームの恐ろしさを世に訴えるには、遅過ぎたのである。
表彰式の一件以来、それ以前から散見されていた、リアリティ・ペインシステムによるPTSD発症とそれを原因とする犯罪が表面化。
「DSO」との関連を指摘された殺人事件の件数は数百に上り、「DSO」はほどなくして発売中止となった。全てのソフトはアーヴィングコーポレーションにより回収され、この悪魔のソフトはゲーム市場から抹消された。
だが、それで「DSO」の犠牲となった人々が蘇るわけではない。
その頃にはすでに――Rは、失ってはならない者を、失っていた。
ソフィアの誕生日。表彰式で発狂し、Rを襲った参加者は……彼の住所を調べ、パーネル家へ押し入ったのである。
そしてその日、何も知らないRが、最愛の恋人へのプレゼントを手に帰ってきた時――ようやく。
彼は自分の過ちを知るに至り、長い夢から醒めたのだった。
自分がやっていたゲームのせいで。
彼は、かけがえのない恋人も、その家族までも。全てを一度に、失ったのである。
――その後。
Rはプロゲーマーを引退し、ソフィアとの思い出が詰まった「ハピホプ」のアカウントも削除。「DSO」を返品し、生徒の保護とい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ