第14話 外界からの異物
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るその地平線は――いわゆる、電脳空間のものであった。
(……ここは、まさか……!)
僅かな光明すら見えない暗黒の空。無機質な空気感。「DSO」の世界で感じていた自然の匂いすら、消え去った「無」の牢獄。
「ようやく目覚めたな」
「……あなたはッ!」
そんな世界に来てしまったRの前には、背を向けて立つオーヴェルの姿があった。彼はRの方には見向きもしないまま、片手で立体メニューバーを操作し続けている。
――だが、そのバーにはRにも見覚えがない表記が幾つも並んでいて、何を操作しているのかがまるで読めない。英文のようだが、Rが読み取る前に次々と流されてしまっている。
少なくとも、「DSO」のメニューバーではないようだ。ということは、ここはやはり、先程までいた「DSO」の世界ではない、ということなのか。
「心配はいらない。ここは『ログアウト待ち』のプレイヤーを保護するための『インターフェース・エリア』だ。君もよく知っているだろう」
「……!」
思考を巡らせるRに対し、オーヴェルはある言葉を口にする。その単語を耳にして、Rはここがどのような空間であるかを悟った。
――インターフェース・エリア。
「ヘブンダイバー」に搭載されている電脳空間であり、プレイヤーの意識をゲーム世界に転送するまでの中継地点に相当する。
プレイヤーはこの空間で、キャラクターメイキングやアカウントの管理など、ゲーム世界に行くまでの準備を整える。そこに今、自分とオーヴェルが転送されている状態なのだ。
「なんでオレ達がここに……!? あの時、ログアウトボタンは押してなかったはずだ! それに皆は……!?」
「問題ない。外部からのアクセスによる『DSO』の強制ログアウトは、すでに成功している。君の友人達も、このゲームに巻き込まれた他の乗員乗客も、じきに悪夢から醒めるだろう」
「なんだって……!?」
そこまで思考を巡らせたところへ、オーヴェルの口から「強制ログアウト」という言葉が告げられる。
――つまり。今もログアウトされていないのは、自分達二人だけだというのだろうか。他の人々は……優璃達は、あの世界から抜け出せたのか。
次々と告げられて行く情報に、Rはただ瞠目するばかりだった。
「君も私も、『甲冑勇者』であることから、ある程度は自衛できると判断されたのだろう。一度に全員をログアウトさせると、サーバーが負荷に耐えられない。だから……『奴』から身を守れないNPC化された被害者達から、優先的にログアウトされているというわけだな」
「さっきから何を言ってる……!?」
「……あぁ、済まない。申し遅れたな。こうなった以上、もはや正体を隠す必要もないだろう」
そんな彼に、オーヴェルは振り返り――碧く、どこか儚げな
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