第14話 外界からの異物
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るだろうか。
ここで「いいえ」を選んで老紳士を拒絶したとして。自力でログアウトする方法が――みんなを助ける方法が見つかるだろうか。一介のプレイヤーでしかない、自分が。
(……オレは……)
そこまで考えたところで。Rは指先を震わせて、眼前の立体メニューバーを凝視する。もはや……いや、はじめから。彼には、選択肢などなかったのである。
罠であろうと、そうでなかろうと。この世界に来た時点で、Rにはこうするしかなかったのだ。
(頼む……どうか、どうか……!)
そう諦めるように、彼は「はい」のタッチパネルに指先を伸ばしていく。罠ではない、という絶望的な可能性に賭けて。
「待てッ!」
「……!」
その時だった。それまで事態の推移を見守るだけだったオーヴェルが、突如声を上げてRを見据える。
彼の碧い瞳は、真摯な眼差しでRの仮面を射抜き――「はい」に触れかけた指先を、すんでのところで止めさせていた。
グランタロトの仮面からでも伝わる、強い意志の宿った眼光。それを目の当たりにして、Rは思わず指を引っ込めてしまう。
老紳士はそんな彼を一瞥すると、冷酷な眼差しでオーヴェルを見下ろした。
「……やはり。『異物』はあなたでしたか。道理で、何かおかしいと思っていたのですよ」
「……貴様は、所詮独り。単独でゲームを全て監視するには、限界があったようだな」
忌々しげに睨む老紳士に対し、オーヴェルは床に伏せたまま不敵に笑う。そんな彼を見据えながら、老紳士が何かをしようと片手を振り上げた――その時。
「ぬっ……!?」
「……来たか!」
眩い光が、この場――いや、イリアルダ邸そのものを包み込み。R達の視界が、ホワイトアウトし始めた。
この現象は老紳士の仕業ではないらしく、彼も目を抑えて苦悶の声を漏らしている。今の状況を理解しているのは、オーヴェルだけのようだった。
「なん……だッ!?」
何も見えなくなっていく。何も聞こえなくなっていく。
まるで、自分そのものが消えて無くなっていくような……そんな感覚がRを、R達を襲っていた。
――そして。
『外部からの強制アクセスにより、本ゲームはシャットダウンされます。繰り返します。本ゲームは、シャットダウンされます』
無機質な音声が、聴覚を通して脳に響いた瞬間。
Rは、己の意識さえも失うのだった。
◇
――それから、どれほどの時が過ぎたのか。
「……なッ!?」
Rが次に目を覚ました時。
彼を取り巻く世界の景色は、すでに「DSO」のものではなくなっていた。その時にはグランタロトに変身していた体も、元の生身に戻っている。
透明で、碧い床。六角形のラインを描き、果てしなく広が
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