第13話 闇の魂
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ヌ――もとい、優璃達とは違う何かを感じ続けてきた。NPCとしてはありえない発言や、NPCらしからぬ挙動など。
まるで……自分と同じ、「プレイヤー」のような。
(……)
そんな彼の眼を見つめ続けるRは……それとは別の何かを感じ始めていた。
あの日、初めて会ったはずなのに――どこか見覚えのある、あの碧い眼。
(……ソフィア……?)
気がつけば彼は、記憶の中にある一人の少女を、その眼の色に重ねていた。
「……とどめは、刺さないのか」
その時。Rを見つめるオーヴェルは倒れ伏したまま、声を絞り出す。
彼の貌には、もう敵意の色は見られない。どこか、憑き物が落ちたようにも窺える表情だ。
「これまでずっと、不殺でやってきたんだ。今更、殺せるわけない」
「……そうか。やはり、君は……」
そんな彼の胸中は読めなかったが。Rはあくまで、毅然と言い放つ。この世界において、自分は誰一人殺さないということを。
それを聞いたオーヴェルは、Rの言葉を胸の奥に染み込ませるように、瞼を閉じる。その口からこぼれ出た言葉は、何を意味するのか。
Rがそれを問おうとした――その時だった。
「……!」
「ベリアンセイバーが……!?」
Rの蹴りを浴びた時に、オーヴェルの手から離れたベリアンセイバー。床に突き刺さっていたその宝剣が――突如。
禍々しい漆黒の霧に包まれ始めた。やがて、その霧は剣から離れると宙に舞い上がり、一同の注目を集める。
「まさか……戦いの余波で、魔獣が目覚めたのか!?」
「ヒカル君、気をつけてッ!」
この靄から、何が現れるのか。これから、何が起きるのか。Rには、ある程度予想がついている。
「DSO」のシナリオに沿うならば……この後、ベリアンセイバーに封じられていた古の魔獣が復活し、このイリアルダ邸で大暴れすることになる。
その暴走を止めるため、Rが持つグランヘンダーの力で魔獣に立ち向かう――という筋書きだ。
Rが知る「DSO」においては、その戦いがラスボス戦になる。だが……もはやこの世界は、Rが知っている物語からは大きく逸脱している。
魔獣ではない何かが現れても――不思議ではない。あるいは、「DSO」に登場するそれを遥かに凌ぐ個体か。
いずれにせよ、油断はできない。Rはグランヘンダーを構えたまま、黒い霧の出方を伺う。古の魔獣の化身である、闇の魂の動向を。
「……ッ!」
すると。黒い霧は、唸りを上げてRに向かって襲い掛かってきた。急降下し、低空を滑るように飛ぶ霧を前に、Rは息を呑み咄嗟に横へ転がる。
Rのそばを通り過ぎた霧は、やがて地に堕ち――みるみるうちに、人の姿へとその形
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