第13話 闇の魂
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ベリアンタイトを纏っているこのオーヴェルという男が、Rが睨んだ通りなら。
「後者」の「プレイヤー」である可能性が高い。
(やはり、この人は……!)
一見すればNPCと見紛うような、無駄のない巧みな剣術だが――その中から窺える細やかな仕草は、NPCらしからぬ「人間味」が感じられる。
「DSO」をやり込んだRだからこそ敏感に感じ取る、違和感。その違和感が生む隙を突くように、Rはベリアンタイトの腹に蹴りを入れた。
「がッ!」
床の上を転がるベリアンタイトは、腹部を抑えながら立ち上がり、体勢を立て直す。そんな彼の出方を窺うように、Rも剣を上段に構え直した。
「す、すごい……!」
「これが、『甲冑勇者』同士の戦い……!」
「頑張って……ヒカル君!」
緊迫した面持ちで、彼らの戦いを見守るユリアヌ達。生身である彼女達にはもう、この一騎打ちの行く末を見届けることしかできないのだろう。
(……VRMMOにこそ慣れていないようだが……元がかなりの手練れなんだな。一体何者なんだ……?)
そんな仲間達を一瞥しつつ。
Rはベリアンタイト――に変身しているオーヴェルに、訝しむような視線を送っていた。
VRMMOでの戦いには慣れていない。それは間違いないだろう。だが、その点を差し引いても、並のプレイヤーでは勝負にもならないほどの腕前だ。
よほど元々の――つまり現実の世界での戦いに精通していなければ、ここまでの戦闘力は発揮できない。
ベリアンタイトを纏うオーヴェル。そのキャラを演じる、あのオールバックの青年は、それほどの実力者だということになる。
(……!?)
すると。Rが、その実態を思案している最中――ベリアンタイトが、動きを見せた。
咄嗟に剣を握り締めるRを前に、彼は片手でベリアンセイバーを振りかざしながら、腰に巻かれたブレイブドライバーに手を掛けた。
幾つかあるボタンの中でも、一際大きい緑色のボタンを押し込むと――
『Sixth generation!! Ignition slash!!』
――ベルトから電子音声が響き渡り。ベリアンセイバーが、妖しい電光を放ち始めた。
「……!」
ベリアンタイトはベリアンセイバーを水平に構え、腰を落として次の攻撃への姿勢を整える。――あからさまに、大技を放つ体勢だ。
この間合いから放つ大技。それを予期したRは、彼を真似るように自身もブレイブドライバーに手を伸ばす。
この時勢に珍しく、VRではないテレビゲームをプレイしているRなら、わかるのだ。ベリアンタイトと同じ大技で迎え撃つには、どのボタンを押せばいいのか。
――どのボタ
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