第12話 赤と青、剣と剣
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の剣に真っ向から立ち向かおうとしていた。
「ヒカルさんっ!」
そんな無謀な戦いが、幕を開けようとした瞬間。息を切らして戻ってきたネクサリーが、この場にその声を響かせる。
彼女の手には――臙脂色と薄いベージュに彩られた、「あるもの」が握られていた。
「ネクサリー!? ――そ、れは……!」
それを目にしたRは……それが何であるかを、容易く見抜くのだった。
(……あれは……!)
形は長方形。十字のボタンや二つ並んだ円形のボタンが特徴であり――さながら、前世紀のゲームのコントローラーのような形状であった。
――そう。オーヴェルが持っていたものと同じ。「宝剣」を発現させる神具、「ブレイブドライバー」だ。
「ネクサリーッ!」
「はいっ!」
Rがそれを認識するよりも早く。テイガートの叫びに応じ、ネクサリーは彼目掛けて「あるもの」を投げつける。
――ネクサリーは、この場で最もR達から遠い位置にいる。そこから直接投げ渡すには届かないと判断したのだ。
「ヒカルとやらァア!」
「……!」
その判断ゆえ、自分に向けて神具を投げるよう命じたテイガートは――Rに向けて、怒号を放ちながら。
怪我をしている足で体重を支え、残された足でボレーシュートを炸裂させた。
伝説となった神具を蹴り飛ばすなど、この世界の騎士としてはありえない行いだが……サッカー部の大雅の人格ならば、これくらいやっても不思議ではない。
――彼は伊犂江優璃に想いを寄せ、守りたいと願う者の一人なのだから。
「……ッ!」
やがてRは、剛速球の如き速さで接近してきた神具を。咄嗟に伸ばした手で掴みながら、素早く駆け出し優璃の前に立つ。その勢いで、白いマフラーがふわりと舞い上がった。
「真殿君、ありがとうッ!」
すでにオーヴェルは技を放ち。鎌鼬は――目前に迫っていた。Rは迷う暇も惜しむように、手にした神具を丹田に押し当てる。
直後、長方形の神具は左右にベルトを伸ばし、彼の腰に巻き付いた。そして確実に「変身」するため、オーヴェルを真似るように――口を開く。
「発動ッ!」
その叫びと共に、バックル部分となった神具の黒いボタンを押し込む。
どのボタンを押せば「変身」できるのか。どのボタンを押せば、「宝剣」を出せるのか。それは、元プロゲーマーの「直感」が教えていた。
そして……アイテムストレージに、「ブレイブドライバー」という文字が現れる瞬間。
Rの体が、紅い電光に包まれ――その煌めきの中から、光の刃が伸びる。
「はァッ!」
その輝きは瞬く間に鎌鼬を斬り払い、二つに分かれた風の刃がR達から離れていく。
彼らの後ろにあった壁が、その風の刃達に斬り裂かれた時
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