第11話 友との戦い
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あるもの」を、出した。
紫紺に塗装され、二つのグリップを両端に備えた「それ」は、さながらゲームのコントローラのような形状であり――それを目の当たりにしたRの表情を、驚愕の色に染め上げる。
「……この『宝剣』を使わない限りはな」
(「宝剣」……だって!? あれが……!?)
当然だが、「DSO」はファンタジーRPGである。このような、世界観を壊すようなアイテムなど実装されていない。
得体の知れないオブジェの出現に、Rは警戒を露わにして剣を構え直した。
――本来の「DSO」ならば、宝剣はその言葉通りに「剣」の形状であるはずなのだ。あんな、コントローラのような意味のわからない物体などではない。
「させないッ!」
「……」
ユリアヌはオーヴェルがやろうとしていることがわかっているらしく、速攻で潰そうと走り出す。だが……彼の行動の方が、早い。
オーヴェルは「宝剣」を丹田に近い腰の部分に当てる。すると――「宝剣」の両端からベルトが飛び出し、一瞬で彼の体に巻きついてしまった。
(巻きついてベルトになった……!? あのコントローラみたいなアイテムは、ベルトのバックル……!?)
「たぁあぁああッ!」
その事象に、Rはさらに瞠目する。ユリアヌはなんとかオーヴェルの行動を止めようと、飛び蹴りを放つが――
「……発動」
――その宣言と共に。「宝剣」の中心に在る白いボタンを押し込んだオーヴェルの全身を、眩い光が包み。
「きゃあぁああっ!」
「ユリアヌっ!?」
飛び蹴りを命中させるはずだったユリアヌを、何らかの力で弾き飛ばしてしまった。その威力は尋常ならざるものであり、咄嗟に抱き留めたRが横転するほどの勢いを生んでいた。
「し、しまった……!」
「ユリアヌ、これは一体……!?」
そして、体勢を持ち直した二人の前には――白いボディスーツと紫紺の鎧を纏う鎧騎士が立っていた。
両肩には21世紀初頭のゲーム機のような、正方形の箱が備え付けられている。どうやら紫に塗装されたそれは、肩鎧であるらしい。
「……! あ、れは……!」
――そう。ルバンターの町で見た、古の勇者達が着ていたとされる、あの仮面と鎧。その内の一つが今、Rの眼前に顕現したのである。
(あの町で見た鎧と同じだ! じゃあ、あの人は……!)
『Set up!! Sixth generation!!』
その時、この場にファンタジー世界には相応しくない電子音声が響き渡る。その声の主は――アーメットヘルムを装備する鎧騎士の腰に巻かれた、あのコントローラ状のベルトだった。
鎧騎士の腰に、あのベルトが巻かれている。それは、目の前の鎧騎士がオー
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