第11話 友との戦い
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、違う場所で戦い続けているユリアヌとオーヴェルの方へ視線を向けた。
(伊犂江さん、みんな……!)
信太と俊史の阻止には成功した。どちらも、しっかり「不殺」で決着を付けられたのだが……急がねば、優璃の身にも危険が及ぶかもしれない。
(信太、俊史……!)
Rはその焦りを胸に、加勢するべくユリアヌの側へ急行する。足元で倒れている友人達の姿に、後ろ髪を引かれながら。
◇
「ちぃっ……!」
「ハッ、トァッ!」
――Rの手で二人の賞金稼ぎが倒された頃。ユリアヌとオーヴェルの戦いも、佳境に突入しようとしていた。
鋭い刺突の連撃をかわし、足や腕に蹴りを浴びせるユリアヌの猛攻。貴族令嬢とは思えないその立ち回りに、オーヴェルは防戦一方となっていたのだ。
突き出された剣の上を舞い、片手で着地したユリアヌの蹴りが、弧を描いてオーヴェルの腕に命中する。その一撃に僅かに怯んだ瞬間――彼の膝下に、痛烈なローキックが飛んだ。
反撃に転じるべく水平に薙ぎ払われた剣をかわし、後方にバック宙するユリアヌ。そんな彼女を追うように、オーヴェルは斬撃の嵐を見舞うが――その全てを、彼女は軽やかに避け続けていく。
「――イヤッ!」
「がっ!」
やがて、斬撃の中から生まれた僅かな隙を見抜き。剣を握る手を掴まれたオーヴェルの顔面に裏拳が減り込み――その手で頭を掴むと、縦に回転させるように投げ飛ばしてしまった。
視界を回転させ、床に墜落したオーヴェルはすぐさま立ち上がり距離をとるが――圧倒的な速さでこちらの攻撃を寄せ付けないユリアヌの立ち回りに、攻めあぐねているようだった。
「……さすが、レベリング次第で最強格にもなりうるNPC。かなりこちらも準備はしてきたつもりだったのだが……読みが少々、甘かったようだな」
「……? 何をごちゃごちゃと……諦めて降参しなさい!」
オーヴェルの、この世界の住人としてはありえない発言。それを耳にしたユリアヌは、一瞬眉を顰めるが直ちに気を取り直し、構えを取る。
「ユリアヌ!」
「ヒカル君! もう片付いたんだ、さすがね!」
「……ああ、まぁな」
すると、今度はこの場にRも合流してきた。彼は気絶しているダイナグとノアラグンを、痛ましい表情で一瞥する。
「……」
そんな彼の横顔を、オーヴェルは暫し神妙に見つめつつ――剣を鞘に納めた。彼の行動に、Rとユリアヌの表情が変わる。
「さすがに諦めて降参ってわけ? 懸命ね、アンタの連れは全員ヒカル君がやっつけちゃったんだから!」
「……確かに、この状況で今の私が逆転出来る可能性は……ないだろう」
――その時。
オーヴェルは、その懐に手を伸ばし。
「……ッ!?」
「
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