第11話 友との戦い
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してきたダイナグの手元を見る。
その手に握られた拳銃の銃口からは、硝煙ではなく小さな火が、立ち上る煙のように漂っていた。
「いつもは二丁だったはずだが?」
「お前なら一丁で十分……って、言っちまってもいいか?」
余裕そのものの表情で、ダイナグは銃口の火を吐息で消し、再び俺に向ける。
ダイナグの持つ、火の玉を弾丸とする拳銃――魔法炎銃は、彼の戦闘力を象徴する……いわば大事な「商売道具」なのだ。
貧民街のジャンク屋から見つけた、所有者の魔力を火力に変換して、火炎弾を発射する。
あの武器を用いて、彼はRやノアラグンと共に、ありとあらゆる修羅場を駆け抜けてきた。
ダイナグ自身の魔法の素質は微小なものだが、それでも魔法炎銃を手にしてしまえば、恐ろしいほどの戦力を発揮する。
「怪我しない内に退散するんだな、ヒカル!」
間髪入れず、火炎弾が群を成して襲って来る。
「くっ!」
Rは椅子やテーブル等の遮蔽物に身を隠し、一旦はそれらをやりすごした……が、
「そこに逃げちゃあ、危ないんだねっ!」
真上から垂直にR目掛けて落下して来るノアラグンの鉄球が、息つく暇を与えない。
彼はさらにそこから飛び出し、落下した鉄球に砕かれて飛び散る床の破片を回避しようと左右に飛び回る。
「そこだっ!」
もちろん、そんな隙を見逃すダイナグではない。彼から見てRが遮蔽物から飛び出す格好になった瞬間。
――Rの左肩が、炎の弾丸に撃ち抜かれてしまった。
「あぐっ!」
肉が焼かれる痛みに一瞬視界が歪むものの、動きは止めない。立ち止まれば、その瞬間に鉄球で潰される。
「長い付き合いなだけはあるよな……手の内を知らないよそ者だったら、初撃でおだぶつだってのによ」
「でも、せいぜい逃げ回るのがやっと。その剣一本で俺達を叩き潰すには、荷が重いんだねっ!」
鉄球でへし折られて、縦に突き刺さったテーブルに身を隠すRに、二人は言葉で揺さぶりを掛けてきた。
(くっ……魔法炎銃をかわせても、近づく前に鉄球に潰される! シナリオを優位に進めるために二人を助けたはずなのに、こんなことになるなんて!)
遠距離にいれば魔法炎銃の銃撃が待っている。なんとか弾幕をかい潜って近付けても、ノアラグンの鉄球が迫ってくる。
経験値を稼ぎ強化した剣であるとはいえ、その一本だけで切り抜けるのは、確かに困難を極めるだろう。
「らしくねぇな。お前ともあろうものが、逃げ回るなんてよォ!」
ダイナグの叫びが部屋全体に響き渡ったと思うと、Rの背中に痛いほどの熱気が訪れた。
(打つ手を考える時間も与えない……ということか!)
Rは燃え盛るテーブルの破片か
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