第10話 宝剣の片割れ
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オーヴェルを演じさせられているあの外国人も、その手合いなのだろう。そう思えば、さして珍しいことではない。
……だが。Rは、オーヴェルとして悪役を演じている、あの青年の言動を訝しむように観察していた。
(……)
直感ではあるが……感じていたのだ。本来の人格を加味することで、より人間味を増したNPCとは、どこか違う何かを。
この世界のNPCのような、演技と本音が入り混じったような雰囲気ではなく。まるで、「本当の人格」が無理にNPCを演じているかのような……。
「剣の力を一人に集めれば、必ず災いが起きる。二つに分かち、互いに牽制しあうことで、バランスが保たれるのだ。君が何を言おうと、私の考えが変わることはないと思いたまえ」
そんなRの思案をよそに。これ以上は焼け石に水だと、マクセルは一蹴した。
すると――オーヴェルは、そこで表情を一変させる。穏やかな好青年の面持ちから、獰猛な猟犬の貌へと。
「そうですか。――では、仕方ありませんね」
これでもかというほど深いため息をつくと、何かの合図を出すように右腕を掲げる。
「……ッ!?」
刹那。会食室の窓が、激しい音と共に砕き割れた。
辺りに戦慄が走り、オーヴェルを除く一同の注意は、屋敷の外から飛び込んできた直径五メートルほどの鉄球に注がれる。
「な、なんだ! オーヴェル殿、これは一体!?」
「……残る一本の『宝剣』。それを頂くというのは、決定事項なのですよ」
「何のつもりだ、貴様!」
イリアルダ家に伝わる伝説の剣の持ち主ということで、ある程度は譲っていくつもりだったが、この事態を前にしては敵対せずにはいられない。
剣を抜こうと鞘に手を伸ばすテイガートだったが、
「――うっ!?」
突如、強烈な衝撃が足元に響き渡り、条件反射的に動きを止めてしまった。
その場所を見下ろしてみれば、どういうわけか――小さな火が床を燃やしている。
(火の玉が、飛んできた――まさか、これは……!?)
そう察したテイガートとRが同時に天井を見上げると、そこには二丁の拳銃を構えてほくそ笑む一人の男が、シャンデリアの上に立っていた。
オーヴェルのように、招かれざる客人であることは間違いない。
「貴様は……!」
「……なっ!?」
見覚えのあるその顔にテイガートが声を上げ、Rが瞠目する瞬間。テイガートの脚が、火の銃弾に撃ち抜かれてしまった。
「ぐわああッ!」
「テイガート様ッ!」
突然の敵襲にうろたえながらも、騎士としての責務を果たすべくネクサリーも加勢しようとする。
そこへ――追い撃ちを掛けるように、鉄球が唸りを上げて襲い掛かってきた。
「くッ……!」
テ
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