第9話 破天荒な姫君
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……!」
「……そう、助かるわ! もう知ってると思うけど、アタシはユリアヌ。救援に感謝するわ、ヒカル君っ!」
「……あ、あぁ」
そんな彼らに溌溂とした笑顔を向けながら。ユリアヌという少女は黒髪のボブカットを揺らして、Rにウィンクする。
――だが、Rはそんな彼女に対して、引きつった笑みを浮かべるしかなかった。
運動が苦手だったはずの、品行方正な伊犂江優璃は。
格闘術に秀でた、男勝りのユリアヌ・リデル・イリアルダに扮していたのだ。
――テイガートやネクサリーは、大雅や利佐子と大差ない人柄であったため、大して気にならなかったのだが。
ユリアヌこと優璃に関しては、強烈なミスマッチが炸裂している。
(う、うわぁ……よりによって、伊犂江さんがユリアヌなのか……)
動きやすさを重視したノースリーブの黄色い服と同色のミニスカートは、白くみずみずしい肌や脚の麗しさを引き出している。
そこからは、ネクサリーの少し日に焼けた健康的な美肌とは似て非なる魅力が放たれていた。
加えて、一流の彫刻家を動員しても再現が不可能と言えるほどに均整のとれた肢体に違わず、その麗顔はまばゆいほどの美しさを持ち合わせている。
整い尽くされた目鼻立ちと端麗な口元は、彼女が高貴な身分の人間であることの、何よりの証明となるだろう。
(……確かに、伊犂江さんも可愛いしお嬢様だけどさ。無理があるでしょ、ユリアヌのコスチュームは……)
――だが。ユリアヌは本来、かなりスレンダーな体型のキャラクターだった。その服を、そのまま豊満な肢体の優璃が着ているのである。
当然、服はかなり張り詰めており、巨峰に衣服を押し上げられているせいで、腹回りが露出している。元々露出度が高めであるユリアヌの衣裳が、優璃の身体に影響されて、より際どくなってしまっていた。
――チアガールより、露出が激しいんじゃないか。それが、Rの素直な感想であった。
(……しかも……)
「あぁん、仲間かぁ? へっ、何人来ようが、このガイアン・バイルブランダー様に敵いやしねぇよ! ユリアヌをモノにするため、十年鍛えた俺様のチカラを味わいやがれ!」
Rは困り果てた様子で、視線を横に滑らせる。金髪を振り乱し、恫喝の叫びを上げるガイアン・バイルブランダーは――あの鷹山宗生が演じていた。
ガイアンの台詞。宗生の表情。完全に一致。
申し訳ないという感情が先に来るほど、ガイアンというキャラクターと宗生の人格は、完璧にマッチしてしまっていた。ユリアヌ=優璃を手に入れたいという願望のリンクが、それに拍車をかけているのだろうか。
(鷹山君……痛かったら、ごめん。早くクリアして、元の世界に返すから、さ……)
Rは申し訳なさそう
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