第8話 奇妙な変化
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に腹を立てながらも、淡々と状況を説明する。
「恐らく実行犯は近隣の山岳地帯を根城にしていると言われている山賊『ガイアン・バイルブランダー』。既に町民の殆どからその男の目撃情報を得ている」
「ガイアン、か。今日からその山の中に行こうって話になるのか」
「そうだ。最後にユリアヌ様が目撃された場所からも近い。そこに行けば間違いないだろう」
作戦は至って単純。山賊の根城に攻め込み、ユリアヌ嬢を救出。それだけの正攻法で挑む事になる。
増援を望むこともできず、そもそもそれを待っていられる猶予もない。地の利でも人数でも圧倒的に不利ではあるが――仕掛けるなら、今しかないのだ。
「今から出発すれば、日が落ちる頃には奴のアジトに着く。夜襲を掛けて、一気にカタをつけるぞ」
「は……はい! 了解しました!」
少なからず不安を帯びた表情を浮かばせつつも、威勢のいい声でネクサリーは出動を決意する。
奇襲という手段は、本来騎士たるものが頼るべきではない。だが、今は何もかもが不足していている状況だ。
なんとしても勝たねばならない以上、どんな手でも使うしかない。結果は、手段を正当化するのだから。
そして。
「うむ。そしてヒカルとやら!」
「あ、あぁ」
「足は引っ張るなよ」
「……あぁ」
――町民のみんなといい、真殿君といい、踏んだり蹴ったりだ。Rはそう思い、この世界の、絶妙にアレンジされた理不尽さにため息をつくのだった。
◇
そして、その日の夕暮れ。
ルバンターの町のはずれにある山岳地帯を登るR達は、それらしい洞窟の穴を見つけた。
その両端には、まだ少し明るいためか火は付けられていないものの、燭台の存在が窺える。
テイガートの指示でR達は日が暮れるまで、近くに隠れて様子をみることになった。
燭台に火を付けるには明るく、付けないにしては暗い。
そんな微妙な暗さの空を見上げ、R達のリーダーは何か考え始めたように顎に手をあてて唸り出す。
「この時間帯が攻め時だな……しかし、向こうの戦力はいかほどなものか……」
「今攻めるのか? 夜襲と言うからには、真っ暗になってから攻め込むものと思ってたんだが」
ロールプレイに徹するべく、敢えて先の展開を知らないフリをしているRの感想に、テイガートは一瞬で呆れた表情になる。
「そんな時間帯にこそ、奴らが最も警戒するのだ。燭台に火が付いて警備万全になってから仕掛けるつもりだったのか?」
「……!」
確かに、昼間は昼間、夜は夜で警備を交代させているケースは多い。その合間を縫って攻撃を仕掛ければ、少なからず混乱が起きる。
――「DSO」では、完全に夜になり、門番が燭台に火を付けようと外に出てきた瞬間に仕掛けていた。
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