第8話 奇妙な変化
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に、テイガートとネクサリーは目撃情報を纏めて犯人の賊を特定し始めていた。
「……ん?」
――すると。Rの目に、あるものが留まった。
町の中央にある噴水広場。その中心点に飾られた、2人の若者を祀る銅像。それは古の伝説に伝わる、2本の「宝剣」を持った勇者達のものである。
――遥か昔、魔獣に苦しめられていた人々の前に現れた2人の男。彼らは2本ある剣のうちの1本に魔獣を封印し……残る1本を、魔獣復活に備えて残した。それが、イリアルダの勇者達の伝説なのである。
「……!」
――しかし。いつしか伝説の像は、Rの知らない変化を見せていた。
「……これは……!?」
「2人の若者」であるはずだった銅像は、今。気づけば、「2人の鎧騎士」になっていたのである。
足先から頭まで、全身の至る所を珍妙な鎧で完全に塞いだ甲冑姿。その変化の意味を見いだせず、Rは暫し呆然と、顔すら隠してしまった古の勇者達を見上げるのだった。
(……なん、だ……? この変わり様は。一体、「宝剣」の伝説にどういう変化が起きたんだ?)
◇
――その後。
Rはネクサリーが取っていた宿屋まで呼び出され、テイガートのいる個室まで招待される。
そして、そこに着くまでの廊下を渡る中で、彼女が進展のほどを説明してくれた。
「テイガート様が例の賊を特定されたようです。今日中に追撃に向けて行動を開始するとのことで」
「もう出発するのか? 忙しいな」
「ユリアヌ様の命が懸かっていますからね。善は急げ、ですよ!」
彼女の先導に従って個室に入ると、憮然とした表情のテイガートがベッドの上に腰掛けていた。
部屋の中にいるというのに、ガッチリと鎧を着込んでいる。ネクサリーですら、今は地味な布の私服を着ているというのに。
「遅い! いつまで町をほっつき歩いているのだ! やる気があるのか、貴様!」
「き、来てそうそうにあんまりじゃないか? こっちは町中からひどい嫌われようで胃に穴が開きそうだったんだけど」
「す、すみませんヒカルさん……代わりにお詫びを!」
「いや、別に君のせいじゃないし……」
ペコペコと頭を下げるネクサリーをなだめつつ、Rはテイガートの手にある地図に目を向ける。
(……絶対、真殿君の人格が入ってるよなぁコレ……)
――そんなことを、ふと思いながら。
◇
見たところ、地図はルバンターの町近辺の縮図らしい。その中心点に赤い印があった。
「随分と限定的なんだな?」
「話題を逸らす気か……まあいい。ユリアヌ様がさらわれてからまだほんの数日しか経っていないからな。この島の外までは行けまい」
テイガートは遅れた件についてはぐらかされたこと
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