第4話 操り人形達の箱庭
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どんな「展開」でも対応できるよう、万全を期する必要がある)
普通のVRゲームではない以上、万一ゲームオーバーになればどのようなペナルティーが伴うかは想像もつかない。
それでなくとも、痛覚がリアルに存在する「DSO」の世界で手を抜くなど、マゾのすることだ。
Rは、鮮やかな太刀筋でゴブリン達を斬り捨てつつ。その返り血を拭う暇も惜しみ、林の中へと駆けつけていった。
「いた……!」
イベントそのものは、通常の「DSO」と変わらないようだ。木のくぼみに身を隠す二つの人影を、約三十体のゴブリンが包囲している。
このゴブリン軍団を殲滅すれば、晴れて優秀なNPCを味方につけることが出来るというわけだ。
何が起きるかわからないこんな世界だからこそ。少々のリスクを冒してでも、確実にクリアできるファクターを引き寄せなくてはならない。
Rはその一身で、ゴブリンの血糊に塗れた剣を振るい、ゴブリン軍団に襲い掛かる。白マフラーを靡かせ、黒髪の剣士が戦場に舞い降りた。
「ギィィァアァア!」
「ゴォガアガアァッ!」
「遅いんだよ……お前らァッ!」
大振りなモーションからの、棍棒のフルスイング。その得物が空を裂く轟音を、耳元に感じながら。
Rは流れるように剣を振るい、各個撃破でゴブリン達を切り裂いていく。ゴブリン達の狙いを自分に引きつけつつ、賞金稼ぎ達を狙う個体を背後から攻撃。その繰り返しにより、殲滅を狙う算段であった。
「おっ……と!」
「グォオォオッ!」
「悪いな――ここでドジってる場合じゃないんだ!」
背後から振り下ろされた一閃を、紙一重でかわし。後ろ足で蹴り飛ばしながら、前方にいる個体を斬る。
側方から横薙ぎに振るわれた攻撃をジャンプでかわし、同士討ちを誘う。
いずれも、ゴブリン達の習性や攻撃パターンを熟知しているプレイヤーでなければ、成し得ないアクションだった。
――やがて、ゴブリン軍団の数が激減し、救出完了を目前に控えた頃。余裕を得たRは木のくぼみに近づき、二人の護衛を優先しつつ残りを駆逐する体勢に入った。
「助けに来た! ここはオレに任せ――ッ!?」
そして。
これから組むことになる賞金稼ぎ達と顔を合わせるべく、白マフラーを翻して振り返り。
Rは、凍り付いた。
「た、助かったぜぇ。俺はダイナグ・ローグマンだ。恩に着るぜ、旅の剣士さんよ」
「オ、オラは、ノアラグン・グローチアだねっ。助けてくれて、感謝なんだねっ!」
ダイナグ・ローグマン。ノアラグン・グローチア。二人とも、そう名乗っていた。間違いなく、スフィメラの町で活動している賞金稼ぎ達の名前だ。
状況的に、彼らが仲間になるNPCであるに違いない。
「う、そ……だろ
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