暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
第4話 操り人形達の箱庭
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
どんな「展開」でも対応できるよう、万全を期する必要がある)

 普通のVRゲームではない以上、万一ゲームオーバーになればどのようなペナルティーが伴うかは想像もつかない。
 それでなくとも、痛覚がリアルに存在する「DSO」の世界で手を抜くなど、マゾのすることだ。

 Rは、鮮やかな太刀筋でゴブリン達を斬り捨てつつ。その返り血を拭う暇も惜しみ、林の中へと駆けつけていった。

「いた……!」

 イベントそのものは、通常の「DSO」と変わらないようだ。木のくぼみに身を隠す二つの人影を、約三十体のゴブリンが包囲している。
 このゴブリン軍団を殲滅すれば、晴れて優秀なNPCを味方につけることが出来るというわけだ。

 何が起きるかわからないこんな世界だからこそ。少々のリスクを冒してでも、確実にクリアできるファクターを引き寄せなくてはならない。
 Rはその一身で、ゴブリンの血糊に塗れた剣を振るい、ゴブリン軍団に襲い掛かる。白マフラーを靡かせ、黒髪の剣士が戦場に舞い降りた。

「ギィィァアァア!」
「ゴォガアガアァッ!」
「遅いんだよ……お前らァッ!」

 大振りなモーションからの、棍棒のフルスイング。その得物が空を裂く轟音を、耳元に感じながら。
 Rは流れるように剣を振るい、各個撃破でゴブリン達を切り裂いていく。ゴブリン達の狙い(タゲ)を自分に引きつけつつ、賞金稼ぎ達を狙う個体を背後から攻撃。その繰り返しにより、殲滅を狙う算段であった。

「おっ……と!」
「グォオォオッ!」
「悪いな――ここでドジってる場合じゃないんだ!」

 背後から振り下ろされた一閃を、紙一重でかわし。後ろ足で蹴り飛ばしながら、前方にいる個体を斬る。
 側方から横薙ぎに振るわれた攻撃をジャンプでかわし、同士討ちを誘う。
 いずれも、ゴブリン達の習性や攻撃パターンを熟知しているプレイヤーでなければ、成し得ないアクションだった。

 ――やがて、ゴブリン軍団の数が激減し、救出完了を目前に控えた頃。余裕を得たRは木のくぼみに近づき、二人の護衛を優先しつつ残りを駆逐する体勢に入った。

「助けに来た! ここはオレに任せ――ッ!?」

 そして。

 これから組むことになる賞金稼ぎ達と顔を合わせるべく、白マフラーを翻して振り返り。
 Rは、凍り付いた。

「た、助かったぜぇ。俺はダイナグ・ローグマンだ。恩に着るぜ、旅の剣士さんよ」
「オ、オラは、ノアラグン・グローチアだねっ。助けてくれて、感謝なんだねっ!」

 ダイナグ・ローグマン。ノアラグン・グローチア。二人とも、そう名乗っていた。間違いなく、スフィメラの町で活動している賞金稼ぎ達の名前だ。
 状況的に、彼らが仲間になるNPCであるに違いない。

「う、そ……だろ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ