暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
第3話 禁じられた世界
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学校に行く新幹線が、目的地に到着した瞬間。自分を含む乗客全員が、ガスか何かで眠らされ。目が覚めれば、発禁されたゲームの世界。しかも、ログアウトできないという特殊仕様。
 判明したことを軽く纏めてみると、事態の異常さが際立ってくる。事実は小説よりも奇なり、とは言うが……さすがにこれは限度がある。

(……とにかく、いつまでもここに居てはラチがあかない。オレと同じように、乗客や学校の誰かが、この世界に迷い込んでいる可能性もある。……探してみるしか、ないな)

 だが、不幸中の幸い、と言うべきか。判明している「普通の『DSO』と違う点」は、「ログアウトできない」という部分のみ。それ以外は全て、Rが熟知している「DSO」そのものの光景が広がっているのだ。
 ゆえにどこに何があるかは、ある程度見当がつく。それにこの先を進めば、今自分が置かれている異常な状況について、何かがわかるかも知れない。

(……「DSO」のシナリオモードは、至って短い。案外、答えはすぐに見つかるかもな)

 ここが「DSO」の世界であると勘付いて、数分も経たないうちに。Rは自分が知り得る最短ルートを直進すべく、森の中を歩み始めた。

 ――「DSO」はあくまでオンライン対戦を主な要素としており、オフラインでプレイできるシナリオモードは、昨今のゲームとしては非常に短い。

 旅の剣士である主人公がならず者の街に訪れ、そこで依頼をこなしていく日々が始まる。やがて貴族の姫君を救ってほしいという依頼が舞い込み、依頼主の騎士達と共に姫君を救う。最後は姫君の屋敷に現れた魔獣を倒して、ハッピーエンド。

 たったそれだけの、短い英雄譚だ。どちらかと言えば、オンライン対戦を控えているビギナープレイヤーを慣れさせるための「チュートリアル」に近く、全体的に難易度も低い。
 もしこの世界が、Rの知る「DSO」と大差ない作りであるなら、ノーダメージクリアも容易いだろう。

(問題は……そこまで上手く事が運んでくれるか、だが……)

 険しい表情を浮かべつつ、Rは慣れた足取りで道無き道を歩む。最初にプレイヤーが遭遇する「イベント」が発生する地点を目指しているのだ。
 程なくして、森を抜ける直前に至るまで歩みを進めた彼の前に。幻想的な自然に彩られた、蒼い泉が現れた。

(ここでプレイヤーは、このゲームについて大まかな説明を受けて、最初の町への道を示してもらう。そのあとすぐ、モンスターとの初戦闘になるわけだが……)

 Rの知る「DSO」なら、泉に辿り着いたところで水中から美しい精霊が現れ、このゲームの目的や基本操作を説明してくれる。
 その展開を予見したRは、イベントが発生する距離まで、泉に歩み寄るのだが。

(……やはり、普通の「DSO」とは違う、のか……?)

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