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Darkness spirits Online
第2話 運命の始まり
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 何が起きたのか。まさか、何かのトラブルか。

 その推測から、Rは車内がパニックに陥る可能性を考え、咄嗟に口元を覆い隠しながら辺りを見渡す。

(……!)

 だが。すでに辺りは静寂に包まれ――つい先程まで、旅先に思いを馳せて談笑していたクラスメート達は、その意識を刈り取られ力無く倒れていた。
 引率の先生も。そして……自分の帰りを待っていた、優璃達までも。

(伊犂江さん、みんな!)

 ぐったりしたまま動かない優璃の手には、Rの荷物が握られている。彼の分の荷物も、纏めようとしていたのだろう。
 そんな彼女に手を伸ばすRも、力が抜けたかのように片膝をついてしまった。うまく、足が動かない。

(ガス、なのか……!? 一体、何が、どうなって……!)

 詳しい状況はまるで見えてこないが、この車内にいる全員が意識を失っている以上、とてつもない異常事態が発生していることは間違いない。
 すでに新幹線は目的の駅に到達し、停車しているが――運転手は無事だろうか。

(あの人、は……!?)

 次第に薄れていく意識の中。Rは、先程すれ違った青年のことが気掛かりになり、振り返ろうとする。
 だが……すでに彼の体は、指先一つ動かせなくなっていた。

 このまま、死ぬのか。わけもわからないまま、その運命を予感した少年は。

(……ソフィ、ア……)

 ――ある少女の名を、心の奥底で呟き。己の意識を、闇の中へと手放した。

『散布、完了。全ての準備が整いました』
『よろしい。では、私達は暫し身を隠すとしましょうか。……さぁ皆さん。待ちに待った瞬間ですよ』
『おぉ……いよいよ我らも、この下らない世界からの解脱(・・)を果たすのですね』

『えぇ、そうです。脆弱で窮屈な、この身を捨てて……今こそ旅立とうではありませんか。悠久の、仮想世界へ』

 倒れた自分のそばを歩く、男達の足音にも。彼らが交わす、怪しい言葉にも。
 頭に「何か」を被せられたことにも、気づかずに。

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