第1話 学園のアイドル
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様にキモオタ三人組と昼食を取っているのが我慢ならなかったのだろう。
なんとか離そうと試みるのだが、利佐子はぱぁっと明るく笑いながらそれを受け流し、華やかな笑顔を三人に向ける。
Rは学園のアイドル達が自分達に好意を向けている現状に、先行きの不安を覚えて口元をヒクつかせているのだが――他二人は、利佐子の笑顔にすっかりやられてしまったらしい。
「蟻田さんっ……なんて素敵な人なんだ……!」
「ぼ、僕……感激なんだねっ……!」
信太と俊史は、自分達に好意的な目を向けてくれる大天使を前に、感激の涙を浮かべていた。
「蟻田さん、あんな奴らにまで笑顔を振りまいて……天使かよ」
「あの蟻田さんにまで気を遣わせて……あいつら、本当に最低だな!」
そんな彼らにクラスメート達はさらに厳しい目を向けるのだが、利佐子の笑顔に浄化された二人はもはやそれすらも意に介していないようだった。
(入学式からもう一ヶ月になるけど……ずっとこんな調子じゃあ胃がもたないよ……なんとかならないかなぁ)
良くも悪くも単純な友人二人を一瞥し、Rは親の仇のように自分達を睨む大雅やクラスメート達に視線を移す。
事の発端は「学園の聖女」である優璃がRに構っていることにあるためか、R個人には特にキツい視線が集中しているようであった。
「飛香君? どうしたの?」
「あ、あぁいや、別に」
一方、殺気の原因である優璃本人は何もわかっていないのか、ゲンナリした表情のRを不思議そうに見つめていた。
――とにかく、伊犂江さんを心配させるような顔はしない方が良さそうだ。彼女のためにも、自分の安全のためにも。
そう思い立ったRは、口元をヒクつかせつつも懸命に作り笑いを浮かべるのだが。
「あ、そうそう! 今度の林間学校なんだけど、私そっちの班に入っていいかな?」
「……ヴェ?」
変な声が出た。
――林間学校の班決めは、この昼休みの後に行われる。男子の誰もが、あの手この手で優璃を班に誘おうと躍起になっているところだったのだが。
その男子達の前で、彼女は自分から班に入りたいと申し出てきたのである。しかもその班は、学園のゴミと悪名高いキモオタ三人組。
「だ、駄目に決まっているだろう伊犂江さん! 何考えてるんだ! そんなの絶対駄目だ!」
「え、え? なんで真殿君の許可がいるの……?」
「そうですよ! お嬢様が決めたことなんですから、真殿君の口出しは無用です! ……あ、飛香さん。ついでに私も入っていいですか?」
「あ、蟻田さんまで……!?」
即座に近くで聞いていた大雅が抗議の声を上げるのだが、優璃は取り付く島もなく、利佐子も反論に出た。そればかりか彼女までもが、R達の班に入りたいと言い始める。
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