第1話 学園のアイドル
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の信太や俊史とは違い、学力テストでは常にトップに立っている。
アメリカからの帰国子女ということもあり、特に英会話を得意としていて、英語の授業では無敵を誇っている優等生でもあるのだ。
さらに帰宅部でありながら体力テストでも高い成績を保持しており、外見も「キモオタ」には程遠い中性的美少年でもある。
加えて美化委員も務めており、この教室の花瓶や校舎周りの花壇を、頻繁に手入れしている。
それだけのスペックを備えていても、キモオタの二人とつるんでいる「同じ穴のムジナ」というだけで、周囲からは蔑視されている身なのだ。それだけ二人の(悪い噂の)影響力が強いということでもあるのだが。
教師陣も、「文武両道で優秀だが、人を見る目がなさすぎる変わり者」と見做し、扱いに困っているらしい。キモオタとはいえ数値上は優等生であることから無碍にもできないのだとか。
そんな「キワモノ」の飛香Rが、全校生徒の「憧れ」である伊犂江優璃に話し掛けられている。しかも、仲睦まじげに。
その事実を目の当たりにした大雅が、クラス――ひいては他校の男子を含めた男性陣を代表するように、「伊犂江さんを誑かすのはやめろ」と声を上げようとした……その時だった。
「ご、ごめんなさいお嬢様! 遅くなりました!」
「あ、もー遅いよ利佐子。お昼休み終わっちゃうよ」
息を切らして、もう一人の女子生徒が駆け込んでくる。大雅と同じ、生徒会役員の一人・蟻田利佐子だ。
栗色のセミロングを揺らして、あくせく走る小柄な姿や愛嬌のある顔立ちから、優璃に次ぐ人気を誇る生徒であり、このAクラスでは学級委員も任されている。
そんな人望に溢れた彼女は何かと頼られることも多く、こうして昼食に遅れる場合は先生の手伝い等が理由であることが殆どなのだ。そうした甲斐甲斐しさから、学内では「学園の天使」とも呼ばれている。
親が伊犂江グループの重役であり、その縁もあって優璃とは幼い頃からの付き合いがある。いわば幼馴染なのだが、現在は彼女の侍女のような立ち位置にいるようだ。
「ご、ごめんなさい。委員会の書類を運ぶように先生から頼まれていたものですから……」
「昔から優しすぎるもんね、利佐子は。さ、早く食べよ? 本当に昼休み終わっちゃうよ」
「あっ!? は、はい! では飛香さん、ちょっとお邪魔しますね!」
「え? あ、あぁ、いいよ」
利佐子はRにぺこりと一礼すると、わたわたと椅子を借りて優璃の隣で弁当を開いた。どうやら彼女もここで食べるつもりのようだ。
「あ、蟻田さん! 君までこんな奴らと!」
「大丈夫ですよ、この人達は別に悪い人達なんかじゃありませんから。ねっ?」
大雅は同じ生徒会役員、それも自分より人望の厚い利佐子が、優璃と同
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