暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
第1話 学園のアイドル
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く手を置きながら彼らを糾弾する。
 信太と俊史はそんな彼に対し、眉を吊り上げ椅子から立ち上がり、威勢良く反論するのだが――好きなもののために戦う彼らに、周囲のクラスメートは味方しなかった。

「うわぁ……」
「マジきもっ……」
「やっぱ最低のキモオタじゃん……」
「伊犂江さん可哀想……あんな奴らに相手させられて」

 怒り。侮蔑。それらの負の感情が、ギャラリーから沸き立っているようだった。大雅の言い分よりその迫力に圧倒され、信太と俊史は引っ込んでしまう。

「……これでわかったろう、伊犂江さん。こいつらは現実の女の子に相手にされないからって、バーチャルの女の子に走って欲望をぶつけている最悪な連中なんだ。君がこいつらを可哀想に思う気持ちもわかるが、だからといって優しくすればつけ上がるに決まっている。君の安全のためにも、すぐにここから離れるんだ。昼食なら、俺と一緒に食べよう」

 その様子を見届け、自分の勝利(?)を確信した大雅は、耳元で囁くように優璃を昼食に誘う。
 普通の女子なら、一発で墜ちるフェミニズム全開の台詞。それが炸裂した今、優璃が席を立つのは自明の理――

「あはは、大丈夫だよ真殿君。私、飛香君と昼食食べに来てるだけだし」

 ――と、思いきや。優璃は「何を大袈裟な」と言いたげに笑いながら、そのまま昼食を再開してしまった。
 あっけらかんとした彼女の対応に、大雅やクラスメート達は、揃って唖然とした表情になる。それは、R達三人組も同様だった。

「でも、『Love Hearts Online』かぁ。私、最近ゲーム始めた初心者だから、ハピホプしか知らなかったんだ。そんなゲームもあったんだね、飛香君」
「あ、あぁ、うん……そうだね……」
「――で? 飛香君は、VRでどんなコとデートしてるの?」
「……!?」

 その時。優璃は楽しげに笑いながら――スゥッと目を細め、Rの表情を窺う。微かに声色を変えた彼女の眼に、Rが息を飲んだ瞬間。

「……なんてね! 他にはどんなのやってるの? 飛香君って、この中じゃ一番ゲーム得意なんだよね?」
「え、ええと。他にやってるのって言ったら、VRじゃない昔のテレビゲームとかばっかりで……」
「……へぇー、今時珍しいよね! テレビゲームかぁ……随分レトロだよね。どんなソフトがあったんだろ。知ってたら、教えてくれる?」
「あ、あぁ……うん……そうだね……」

 優璃は再び声色を元に戻し、小首を傾げながら「お願い♪」とウィンクする。
 そんな彼女の仕草を間近で見れば、ほとんどの男子は一発で撃沈必至なのだが――先ほどの彼女の眼や、周囲から迸る嫉妬の業火に肝を冷やしている当のRは、それどころではないようだった。

 ……飛香Rというこの少年は、体力学力ともに平均以下
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