第百三十一話 終演への道
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相成った。
「父上、御無事で何よりです」
「テレーゼ、よう無事で」
「父上こそ」
がっちりと抱き合う親子の姿にその場に居た者達は一様に感動して涙を見せて居る者すら居る。
挨拶が済むと、皇帝とテレーゼからそれぞれに礼が述べられた。
「卿等のお陰で、予もテレーゼも無事にこうして再会する事が出来た、皆大儀であった」
「皆のお陰で、父上も母上も妾も無事であった、皆の献身忘れはない」
些か堅い挨拶であるが、此処に集まった者達はそんな事を気にせずに、陛下と殿下のお礼の言葉に感じ入っていた。
その後緊急に会議を開く事となりその前に箝口令が発せられた。今回の事件自体が皇太子が親である皇帝の弑逆を諮ると言うデリケートすぎる案件の為であり、関係者全てが許可のでない限り今回の事を喋らないように勅命が下った。
実際の所、テレーゼに考えが有って、完全に皇太子の関与を隠す狙いがあったのであるが。
皇帝陛下の言葉で会議が始まった。
参加者は皇帝フリードリヒ4世、皇女テレーゼ、国務尚書リヒテンラーデ侯、幕僚総監クラーゼン元帥、装甲擲弾兵総監ライムバッハー上級大将、装甲擲弾兵副総監オフレッサー大将、憲兵隊総監グリンメルスハウゼン上級大将、憲兵隊総監高級副官ケスラー准将、ランズベルク伯など事情を知るもの達が集まっていた。
「さて、今回の自体じゃが、多くの謎が残りおった。更にルードビィヒの事とエルウィン・ヨーゼフの事もある。遠慮は無用じゃ率直な意見を述べて欲しい」
「陛下、皇太子殿下の死は余りにも帝室の権威を失墜させる故、自然死と致すのが宜しかろうと存じます」
リヒテンラーデ侯の言葉に、何人かが頷くが、陛下とテレーゼは渋い顔に見える。
「侯はそう言うが、このままで行けば、皇太子殿下は謀反人で無くなる。そうなるとエルウィン・ヨーゼフ殿下の皇位継承権が発生するではないか」
クラーゼン元帥の言葉には謀反人の子などに仕えるのはまっぴら御免との感情が見え隠れする。それにライムバッハー上級大将やオフレッサー大将が頷いて賛成の仕草を見せる。
「恐れ多き事なれど此処でエルウィン・ヨーゼフ殿下を廃嫡すれば、皇位継承の争いになるやも知れませんぞ」
リヒテンラーデ侯の言葉も尤もなのであるが今ひとつ説得力が足りない。
「このままで行きますと、テレーゼ殿下が皇位継承第一位となりますが、殿下の御心境は如何な物でありますか?」
ジーッと話しを聞いていたグリンメルスハウゼン上級大将が目を開いてテレーゼに質問してきた。その言葉に参加者の視線がテレーゼに集まる。
「妾が、継承権第一位とは、母上がお聞きになれば、御喜びになるであろうが」
テレーゼは全く喜んで無いように聞こえる話し方で坦々と呟く。
「テレーゼ殿下が立太子なされませば
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