第五話
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いのよ。そら、役得だと思っていきなさい。」
「何だよ役得って……ったく。ただ大剣はあとで届けるなり寮に持ってくなりしてくれよ?いくらなんでもバランスが悪くなる。」
「分かった分かった。ほら、いきなさい。」
適当な返しをする更にブツブツ文句を言いながらもカイムはラウラを背負い、保健室に向かう。途中でアリサとフィーに止められるも先程のサラの言い分を説明され見送るしかなかった。残る女子のエマは二人が先に意見した事とカイムの言い分に納得した事により何も言う事無く苦笑いしながら見送るのだった。
「う、うん……?」
保健室に向かう道中で目を覚ましたラウラの視界に最初に入ったのは白い天井だった。そして左右を見るとベッドと壁があり、薬の匂いが鼻をついた。それらの情報からラウラは自分が保健室のベッドに寝ているということを認識した。そのまま起き上がると見覚えのある白い髪を持った少年が入ってきた。
「おお、目が覚めたか。ちとやり過ぎた、すまん。」
「先程目が覚めたばかりだ。そして気にしなくていい、完璧に打ち負かされてむしろ清々しいくらいだ。無論、悔しさもあるが。」
「そうか。」
そう言いながらカイムは傍にあった椅子に座る。少しの間沈黙が続いた後、ラウラが話を切り出した。
「一つ聞きたい事がある。」
「ん?何だ?」
「そなたは自分をまともじゃないと言い、それに後悔していないとも言った。なのにあの時のそなたの顔は明らかに曇っていた。それは何故だ?」
そう問われるとカイムは一瞬呆けた後、困ったような笑みを浮かべた。
「何というか、直球で聞いてくるな。」
「すまぬ、どうも誤魔化しながらというのは性分では無くてな。」
「だろうな……まあ、いずれ機会が来たら話すよ。」
「今すぐは……無理だな。うん、自分でも知り合って直ぐの人間にあれこれ話すのは無理だ。それはしょうがない。」
「分かってくれて何より。さて、立てるか?もう放課後だし寮に戻ったほうがいい。」
カイムの言葉にラウラは窓の方を見ると既に夕暮れ時だった。あともう少し経てば日は完全に沈み夜になるだろう。
「こんな時間になるまで眠っていたのか。」
「……本当に申し訳ない。」
「気にしなくてもいいと言ったであろう。ところで先程戻ったほうがいいと言ったがそなたは戻らないのか?」
「晩飯の材料買いに行くんだよ、時間が遅くなるとグチグチ言いそうなのがいるしな。」
「……ならば私にも手伝わせてくれ。」
肩をすくめながら言うカイムにラウラは少しの間考えた後、ラウラは手伝いを申し出た。その言葉にカイムは首を振りながら断った。
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