第五話
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最初に動いたのはラウラ。カイムに向かって駆けながら大剣を振りかざし射程まで近づくやいなや唐竹に振るう。それをカイムは半身体勢から数歩下がる事で避ける。そこからラウラは切り上げを行いその勢いを利用し体を回転させ左薙ぎを行うもこれもバックステップ二歩で躱してみせる。まるで木の葉相手に剣を振るうような感覚にラウラはじれったさを感じていた。
「なぜ先程から避けてばかりなのだ。真面目にやるつもりはないのか?」
「いや、実力がどれくらいか見る為に少し様子見をね。」
「……それで?」
「見事だよ、その年でこれなら上出来だろう。少なくともこの学園内で生徒の中なら確実にトップクラスだろうさ。」
「まるで年上のような言い方だな。それに実力云々は《剣聖》たるそなたに言われても褒められている気がしないぞ。」
「すまんな、嫌味のつもりはないんだ。それに俺に関しては……まともじゃないのは重々承知しているよ。後悔とかしてる訳じゃないんだがね。」
そういうカイムの表情は曇っていた。後悔はないと言っているのにまるでここにいるのが間違っているかのような、何故自分はここにいるのかと問いかけるような表情だった。その表情にラウラは疑問を持ったが直ぐに余裕の笑みを浮かべ直し話し始めた為、聞く事ができなかった。
「まあしかしこのまま行くのは確かに失礼だな、それにその実力ならなんとかなるだろう。」
「?それはどういう……っ!」
ラウラがカイムの言葉に疑問を投げかけようとした途端、彼女をプレッシャーが襲った。それで悟る、カイムが本腰を入れたと。
「しっかり構えろよ?じゃないと余計な怪我を負う事になるぞ?」
「……覚悟の上だ、来いっ!」
カイムの警告に勇ましく返すラウラ。その言葉を聞きカイムは口元に笑みを浮かべ刀の柄に手を添えた。その動作をみてラウラはいつ攻撃が来てもいいように剣を握り締め、カイムを見定めた次の瞬間……凄まじい衝撃と共に後方に吹き飛んでいた。
「なっ、があっ!?」
吹き飛ぶ直前に見えたのは一瞬で目の前にきたカイムの姿、その後は宙を舞った後地面に落ちていた。蹲った状態から顔を上げると少し前には自分の剣が地に刺さり、そこから更に先には刀を納刀するカイムの姿があった。それで悟った、自分はカイムの攻撃を受け切れなかったと、僅か一撃で勝敗は決したと。流石に一撃で負けた事は認めたくは無かったがもはや体は言う事を聞かず、意識も朦朧としていた。
「ここまで、とはな。」
一矢報いるくらいはできると思っていた。いくら実力は上でも同年代、付け入る隙はある筈だと。だが実際はこれである。胸中に悔しさが溢れるが同時にここまで見事にやられた事に対する清々しさもあった。そ
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