第一章
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ガード
高井田由紀は体育の授業でスパッツの裾をなおしている時にクラスメイト達に怪訝な顔で囁かれた。
「ちょっと、注意してね」
「今男子も同じ場所で体育してるから」
「見られるわよ」
「注意してね」
「見られるって裾なおしてるだけよ」
何でもないという顔で返す由紀だった。
「別に何も」
「その裾なおしがまずいの」
「結構危ないの」
「いやらしい仕草だから」
「下手したら下着が見えるし」
「その下着が見えそうになるから」
由紀の返事はおっとりとしていた。
「だからなおしたのに」
「だから男子に見えない様にね」
「そうしてね」
「由紀ちゃん可愛いしスタイルもいいから」
「男子も見るから」
「注意してね」
「ううん、それじゃあ」
それならとだ、由紀も頷いた。そしてだった。
皆に隠れてそこで裾をなおした、友人達はその彼女にあらためて言った。
「そうそう、そうしてね」
「ちゃんとしてね」
「隠れてしてね、そうしたことは」
「他のこともね」
「他のことも?」
由紀は裾をなおし終えてからクラスメイト達に聞き返した。
「そうしないと駄目なの」
「そうよ、服をなおしたりとかね」
「ブラとかショーツが透けたりとか」
「勿論チラリもよ」
「脚とか鎖骨だけでも」
「結構くるものがあるから」
それだけで男子を刺激するからだというのだ。
「何かあってからじゃ遅いから」
「そうしたガードもしっかりしてね」
「とにかく男の子を刺激しないこと」
「しっかりしてね」
「そうするわね」
こう話すのだった、由紀も。
そしてだ、由紀は無防備な仕草や服装を慎む様になった、服もしっかりとしたものになり不用意な仕草は止める様になった。
だがそれがやがてだ、過剰になってだ。
夏でも長袖でいる彼女にだ。どうかという顔で言った。
「ちょっとね」
「ちょっとですか」
「このことは」
「そう、ちょっとね」
由紀は汗をかきつつ友人達に話す、夏の大阪の街のショッピングをしつつ。
「露出抑えてね」
「いやいや、それでもよ」
「夏に長袖はないから」
「首筋まで完全にガードした」
「それでスカートも生地厚い長いのだし」
「辛いでしょ」
「辛くても露出があるよりも」
友人達、目の前にいる彼女達に言われたことを意識してだ。体育の時に。
「こうしてね」
「いや、それでも限度があるから」
「普通に過ごしていいのよ」
「無防備が問題であって」
「過剰じゃなくていいから」
「そうなの?」
由紀は友人達に汗をかきつつ問い返した。
「万全じゃなくていいの」
「万全っていうかやり過ぎじゃなくていいから」
「今の由紀ちゃんはやり過ぎだから」
「もうち
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