翔希
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ギを着込みながら隣でぼやくリズに多少は同調する。これは《SAO》時代に鍛治屋を始めた当初のリズが行っていたレベリング方法らしいが、今は浮遊城の劣悪なレンタル鍛冶スペースなど使わずとも、本場であるレプラコーン領ならばもっといい場所はある……が、勝手に有名な店を畳んでおいて領の物は使えない。もうレプラコーン領を取り仕切る商人ギルドから、俺たちの名はレプラコーンの鍛冶師の名を汚したプレイヤーとして、ブラックリスト入りを果たしていることだろう。
「ったく、ねちっこいんだから……」
「でも、このレベリングって《SAO》でリズがやってた方法なんだろ? それを一緒にやってるって……なんだか嬉しいな」
「あら、今日はやたら素直じゃない?」
コン、コンと小気味よいハンマーの音が響いていく。仕事中に喋りながらハンマーを打つなど、本来はやってはいけないことだが、鍛冶スキルのサポートがなくとも失敗するほど経験不足ではないし、作っているものは売り物でも他人の武器でもない。そんなこんなで偽らざる本音を語れば、リズが意外そうな視線をこちらに向けてきた。
「せっかく新しいアバターになったんだからな、心機一転。脱・根暗が目標だ」
「長い旅が始まりそうね……」
「……そ、それより。俺もアバターが変わってたのに、なんで俺だって分かったんだ?」
作業机では端材が思った通りに完成されていくが、元々の素材が所詮は端材でしかない。普通の素材を使ったものより明らかに歪つで小さいものだったが、とりあえず出来たものから順々に端の方に置いていく。その分、一つ一つは簡単に作れるのが長所だったものの、とにかく数が多い……原因は俺たちだが。
「そんなの、分かるに決まってるじゃない」
「そんなもんか?」
「そんなもん、よ。あとショウキはさ、これから武器とかどうするつもり?」
「武器?」
聞き過ごせない話題にピタリと作業の腕が止まってしまうが、リズからニッコリと笑いかけられて作業を再開する。武器というともちろん日本刀……ゲーム的にはカタナが脳内に浮かぶが、どういう意味の質問かとリズに視線で問いかけると。
「ほら、あんたには半分ぐらい馴染みがないかもしれないけど、全部リセットされた訳じゃない? 今なら、前から使ってた武器から卒業出来る訳よ」
「あー……」
「あたしはちょっと、メイス以外も使ってみよっかなって。あんたは……」
そこまで説明されて、ようやくリズの言わんとしていることが繋がった。リズで言うならば、旧アインクラッド時代から使ってきたメイスのスキルレベルが高かったため、他の武器をわざわざ使うようなこともなかったが。全てがリセットされた今ならば、違う武器にも手が出せるということだろうが……リズの問いかけへの返答
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