暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
1859話
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「ちっ、外れか」

 呟き、死甲蟲の外殻をゲイ・ボルグで貫く。
 その一撃で死甲蟲はあっさりと死に、崩れていく。
 昨日のあの狂乱ぶりは一体何だったのかと言える程に、今日のシャドウの動きは大人しい。
 いや、大人しいじゃなくて、これが普通なんだろうけど。
 それでもやっぱり昨日の一件が強烈だっただけに、どことなく違和感がある。
 タルタロスの16階までに出没するシャドウの中では、死甲蟲が恐らく一番強い。
 だが、それでも俺の前にあっては、敵という言葉を使うのも躊躇われる程に実力差が開いていた。
 ……さて、一体どうしたものやら。
 一応タルタロス内部のシャドウが昨日と違って大人しいというのは確認出来たので、今日タルタロスに来た理由の1つは既に遂げた事になる。
 やっぱり昨日現れたという特殊なシャドウが、タルタロスのシャドウに対して影響を与えていた理由なのだろう。
 有里が倒したらしいが、ペルソナ戦の初心者に倒される程度だったのだから、個としての実力はそう驚くべきものではなかったと思う。
 多分、あのパターンだ。
 奴は四天王の中でも最弱……とかそんなの。
 勿論本当に昨日姿を現したシャドウの後ろにそんな存在がいるのかどうかは分からないが。
 ただ、シャドウが凶暴になれば特殊なシャドウが……それも昨日の件を考えると、タルタロスの外に出るというのは間違いないと思われる。
 まぁ、まだ1匹だけだから何とも言えないが。
 実はタルタロスの内部に姿を現すとか、そういう可能性も捨てきれないし。
 ともあれ、今その辺りを心配しても仕方がないか。
 ……シャドウが大人しいのであれば、ゆかりと荒垣を連れてきてもよかったかもしれないな。
 一応という事で、今日は俺だけで来たんだが……いや、この後の事を考えると、やっぱりあの2人を連れてこなくて正解だったか?
 何しろ、これから死神を探すのだから。
 前回の戦いではゆかりを守りながら戦うといった事をしなかったおかげで、かなりこちらにとって有利な戦いとなった。
 実際に死神の左肩を切断するという風に追い詰める事が出来たし。
 ただ……そこまで追い詰めながら、逃がしてしまったというのは大きなミスだと言えるだろう。
 次からは、死神もこちらを警戒しているのは恐らく間違いない。
 であれば、もっと慎重に戦う必要があるだろう。
 ……慎重に戦うにしても、まずは死神と遭遇しないとどうしようもないんだが。
 今までこっちから望んで死神と遭遇した事はない。
 いつでも、向こうから現れたのを迎撃するという形だった。
 幸いにも俺の場合は死神が現れそうになると念動力が教えてくれるが、念動力は死神がどこにいるのかを教えてくれたりといった真似は出来ない。
 この辺り、微妙に不便だよな。
 
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