暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百三十話 疑惑と混沌
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
まるで見ているようなピンポイントの連絡であった。

「申し訳ございません、今だ。小官の力量不足であります」
『そうは言えぬ、卿は良くやってくれている。近衛の指揮官の携帯端末に連絡を妾が入れよう』
「その様な事、殿下に患わす訳には行きません」

『父上の命のためならばその様な些細な事気にするでない。妾に早う相手の官姓名を伝えるのじゃ』
「御意、近衛第一連隊付きフォン・ヴァーサー少佐と言います」
『判った』

そう言ってテレーゼはヴィッツレーベン大佐の携帯端末を繋いだままで、フォン・ヴァーサー少佐の携帯端末に連絡を入れる。突然鳴り響く携帯端末にフォン・ヴァーサー少佐が出ると、画面に何とテレーゼ皇女自身が現れたのである。

驚きまくるフォン・ヴァーサー少佐にテレーゼが話しかける。
『フォン・ヴァーサー少佐ですね、妾はテレーゼじゃ、勤め御苦労。卿等が受けた指示は謀反人クロプシュトック侯が兄上を人質に取り捏造したものじゃ。妾を信じて直ぐさま妾の代理ヴィッツレーベン大佐に指揮権を預け指揮下に入って欲しい』

この本物の通信が決定打となり近衛兵は次々にヴィッツレーベン大佐の指揮下に集結し、宮中の一触即発の事態はやっと落ち着いていったのである。

その頃、皇帝陛下御無事、ルードビッヒ皇太子、クロプシュトック侯死亡。リューネブルク逃亡の報告がグリンメルスハウゼン上級大将以下の憲兵隊、ラプンツェルのテレーゼ達に伝えられ、皆が皆ホッとしながらも、事件が未だ未だ終わっていない事を感じるのであった。





帝国暦483年8月5日 午後0時40分〜

■ノイエ・サンスーシ 地下通路

ハアハア。
ここから地下通路だな、フッ。この俺がクレメンス大公のクローンだという与太話は此から帝国を悩ますだろうな。尤もクレメンス大公のクローンなど元来から存在しないのだがな。俺はヘルマン・フォン・リューネブルクであり、それ以上でもそれ以下での人間ではないのだから。

帝国に逆亡命以来、俺の地位の向上を目指して色々な人物を見てきた。そして俺を拾ったのがクロプシュトック侯だった。奴は30年の怨念により当初は皇帝の居る中で爆弾テロを行うつもりだった様だが、クロプシュトック侯が皇太子を誑かしているならもっといい手があると教えてやると些か誇大な妄想に囚われ始めていた奴はそれに乗ってきた。

俺も最初は冗談のつもりで同盟にいた頃のアングラSFや立体TVのクローンやSF世界の妄想を、アイデアとして沢山教えたところ、なんと俺をクレメンス大公のクローンとして皇帝フリードリヒ4世に対する意趣返しを行うために猿芝居を行うはめに成った。

クロプシュトック侯は見事に同盟のB級C級映画やアニメの設定を気に入ったようだった。クローンよる重要人物の入れ替わりや、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ