第百三十話 疑惑と混沌
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デ侯までもが同じ様に言い出した。
「陛下、小官も幕僚総監としてお役に立てませんでした。死を賜りとうございます」
「臣もテレーゼ様の襲撃にワイツが係わっていた以上、大逆罪の連座で死を賜いたく存じます」
其処言葉を聞きながら、煤で顔を真っ黒にした、フリードリヒ4世が真面目な顔で窘めるように全員に言い聞かせる。
「良いか、今日の事誰も悪くはない、強いていえば予の不徳の致すところだ。子1人まともに育てられぬ者が全人類の支配者とは烏滸がましいわ。良いか、今回の事でこれ以上血を流す事まかり成らん!此は予の頼みじゃ、リヒテンラーデ、クラーゼン、ケーフェンヒラー、そして皆良いな」
「陛下・・・」
「陛下」
「陛下・・」
其処にいた全員が涙ぐみながら皇帝陛下に頭を垂れる。
顔は煤けてコントのようであるが、まさに其処にいたのは偉大なる銀河帝国皇帝の御姿であった。
「陛下、お体の検査を致しませんと」
「陛下を直ぐさま安全な場所へご避難有らせられろ」
テキパキと装甲擲弾兵達が陛下やリヒテンラーデ侯やクラーゼン元帥を謁見の間からほど遠い宮殿黒真珠の間に移し手当を始める。
手当を受けながら、皇帝にリヒテンラーデ侯が小声で尋ねる。
「陛下、クロプシュトックとリューネブルクの言って居たクローン、如何なる事でありましょうや?」
「うむ。予もルドルフ大帝がクローンを研究させていたなど初耳じゃ」
「やはり、与太話ではないかと」
「いずれにせよ、事態が収まってから、調べるより他なるまい」
「御意」
その頃、宮殿の異変を知った近衛兵達が宮殿内へ侵入を考え始めたが、ノビリンク大佐達から決して宮殿内に入ってはならないという皇太子殿下の命令が有ると言う事で手をこまねいて居た。其処へ近衛第四中隊がテレーゼ皇女殿下の御旗を掲げて次々に到着してきた。いぶかしむ近衛兵が誰何すると意外な答えが返ってきた事で、近衛兵は混乱を始めたのである。
「誰か!官姓名を名乗れ!」
「小官は、テレーゼ皇女殿下筆頭侍従武官ヴィッツレーベン大佐だ、皇女殿下は御無事、皇帝陛下と皇太子殿下の勅命は反逆者クロプシュトック侯が捏造したもので有る!直ぐさま宮殿の包囲を解き原隊へ帰投せよ」
「しかし、我々の任務は宮殿の警護であります。指揮官の命令がない限り動く事が出来ません」
「指揮官は何処へ行ったか?」
「宮殿内へ行ったきりで有ります」
「貴官の官姓名は?」
「はっ、近衛第一連隊付きフォン・ヴァーサー少佐であります」
「どうしても駄目か?」
「責任者が居ませんので」
押し問答が続くかと思われたその時、ヴィッツレーベン大佐の携帯端末にテレーゼから直接連絡が来たのである。
『ヴィッツレーベン御苦労、近衛の説得は難航しているのか?』
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