第5章:幽世と魔導師
第130話「説明、その一方で」
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「嘘ー……。連絡を取ろうにもその暇がないし……」
霊力で障壁を張りつつ、那美は嘆く。
事の発端は、ニュースでもやっていた正体不明の存在…妖の正体を探るため、那美に仕事が入ってきたのだ。それを受け、今に至る訳である。
ちなみに、那美にその仕事が来たのは目撃情報から一番近かったからである。
「……もしかして、これって妖怪と言うか…妖?」
「くぅ……?神様が言ってた…?」
「う、うん。今朝から感じられる霊力は多いし、椿ちゃん達からちらっと聞いた話からずれてないし……」
「……“幽世の門”?」
「あるの……かなぁ?」
その予想は当たっているのだが、いまいち自分の予想に自信が持てない那美は、とりあえず原因を探るために移動を始めた。
目指すのは、感じられる瘴気が強くなっている方向。
それは、奇しくも幽世の門がある方向だった。
「ふっ……!」
「オオオオオオォッ!!!」
ギィン!ドォオン!!
振るわれた大きな拳を、刀で弾くように逸らす。
逸らされた拳は横に逸れ、地面に窪みを作る。
青森県陸奥市。下北半島にある恐山と呼ばれる山の一画で、大きな鬼と一人の少女が戦闘を繰り広げていた。
「っ!」
続けて薙ぎ払うように振るわれる足。
少女はそれに手を添え、その勢いで飛び上がる事で回避する。
「はぁっ!!」
―――“斧技・雷槌撃”
「ヌゥウウウッ!!」
御札から斧を取り出し、刀からそれに持ち替える。
同時に雷を纏った一撃を振り下ろす。
それに対して鬼は腕をクロスさせてそれを防ぎきる。
……斧の一撃は重く、本来なら腕は両断されるはず。
しかし、鬼の皮膚は堅く、その一撃ですら軽い傷をつける程度しか効かなかった。
〈何ともまぁ、頑丈だねぇ〉
「軽口叩かない!……まったく、面倒なものね…!」
ガードされた際に間合いを取って着地した少女はそう呟く。
対し、首に掛けた小さな西洋剣のアクセサリーからの声はどこか他人事だった。
「マーリン。良い手はないかしら?」
〈何とも言えないね。妖相手は君の方が知っているだろう?〉
少女…土御門鈴はデバイスであるマーリンに尋ねる。
……が、返ってきた言葉は所謂“自分で頑張れ”だった。
「まったく……!」
「ォオオオオッ!!」
そこへ、休む暇を与えんとばかりに鬼の攻撃が迫る。
鈴は“そういうと思った”とばかりに溜め息を吐き……。
「久しぶりに、手応えあったわ」
―――“刀奥義・一閃”
その拳を躱した上で、首に一太刀。
綺麗な軌道を描くその一撃は、見事
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