第5章:幽世と魔導師
第130話「説明、その一方で」
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と、困る。
「心も体も人ではなくなる。それを緋雪は拒んだ。せめて心は“人間”のままでありたいと。……そういって、僕に殺される事を望んだ」
実際、殺される事を望んだ緋雪の胸中が、どんなものだったか僕だって分からない。
まだ生きていたいのに、それでも死を望んだ緋雪は、一体……。
「……だから、殺したんだ。緋雪が、最期まで笑っていられる選択は、もうそれしかなかった。……これが、緋雪の、僕の妹の死の真実だ」
誰もが絶句していた。特に、緋雪の同級生だった奴は。
思いもよらなかったのだろう。こんな身近にそんな重い話があるとは。
「これを聞いて、なお僕の事を人殺しだと罵るなら罵るがいい。僕と緋雪がどう思っていたにしろ、その事実は変わらない。……変えるべきではない」
“人殺し”。つまる所“人”を殺した証とも言える呼称だ。
……それは、最期まで“人”でありたいと願った緋雪を人足らしめている事でもある。
「だけど、それで緋雪が殺されて可哀想などと、勝手な考えはやめてもらおうか。望んでない結末にしろ、緋雪は笑って逝った。“人間”のままであるために。……まぁ、身の上の話でそう思うのは構わないが。……以上だ。長々と聞かせてすまない。でも、誤解されるぐらいなら説明しておきたかった」
そういって、僕は話を終える。
……誰もが立ち尽くしている。ただでさえ驚きの連続な状況が続いているのに、緋雪の真実を話したらこうなるのは当然だ。
「優輝君、緋雪ちゃんの事を話したのはいいけど、この状況の説明は……」
「……さすがに連続で聞かせるのはまずいな…。でも、知っておいてほしいしな」
司の言葉に少し頭を悩ませる。
……それに、学校の皆だけじゃなく、住宅地の人達も知るべきだ。
けど、だからと言って毎回説明していられる程余裕はない。
「……しょうがない。まず先生たちに知ってもらって、先生から皆に教えてもらおう」
「丸投げするんだね……」
「事態が事態だしな。……それに、管理局への応援要請も済ませている。夜中に緊急要請もあったから、管理局ももうすぐやってくる。そっちと連携も取らなきゃならん」
「……そうだね」
門を探している間にクロノ達に連絡を入れておいた。
ロストロギアが現在進行形で猛威を振るっているならば、すっ飛んでくるはずだ。
「とりあえず、先生達に声を掛けてくる。司達はできれば皆が変な行動をしないように見張っていてくれ」
「……校舎に戻しても?」
「大丈夫だ。……だけど、体育館にいた方が把握はしやすいな」
「分かった。こっちは任せて」
「優輝さんも、説明は任せたわ」
司、奏にそう伝え、僕は先生達に声を掛け、体育館横に集まってもらう
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