第01部「始動」
第04話
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
来てくれるとは思って無かったので、片付けをしています。マスターの気が向いたら…その……綱を引いて頂ければ……」
何の話だ。全く…
クイッ
「あっ!!」
「…これは……」
綱は簡単に引き抜けた。天井に穴が空き、硝子が割れる様にドームが砕ける。
現れた光景に思考が止まった。
壁の先には煉瓦で出来た家があった。周囲を花畑で埋め、近くの池には滝のように流れ落ちる水が均整のとれた音を立てている。
以前ラピスの為にと、エリナが渡してきた本に書かれたおとぎ話の一枚絵。平和で幸せな時間を描いた本。今もラピスの部屋の棚に仕舞われている筈だ。
電脳世界とでも言うのか?IFS接続のおかげで良く見える。水面を伝う音も、葉の掠れる音も聞こえる。
綺麗だな。
「マスター?」
「…お前は木じゃないんだな」
「え?」
「前にオモイカネの中に行った時は、意識体が木の形をしていたんでな。お前もそうかと思っていた」
「そうですね。この前までは木でしたが…」
?
この前だと?つまりは何か変化が有った訳か…
「お前は変わってるからな」
「マスターには敵いませんが」
いや、お前には敵わないだろうな。
近くの滝を見つめる。際限なく流れ落ちる滝は何を模しているんだろうな。オモイカネは枝や葉が記録…いや、記憶だったが…
だったらあの中央の家が記憶か?中には絵画が沢山掛かってたりしてな。
「あ、あのマスター?」
「何だ?」
「こ、こちらに…いえ…なんでも…」
良く聞こえないが…何を緊張してるんだ?
「ここはラムダが作ったのか?」
「は、はい!以前ラピスが読んでいた本を参考にしました。急造にしては良い出来に…」
「ん?他のも前は形が違ってたのか?」
「はい。何も無いのは寂しかったので色々作成中です」
「そうか………良いところだな」
「あ、ありがとうございます。あのマスター?」
「さっきからどうした?言いたいことがあるなら………ラムダ?ここには俺たち以外に人がいるのか?」
「いえ?居ませんが」
「そうか?あの家の方から気配が有ったんだが…」
ほんの少しだが人が動く影が見えたんだがな。
「…あの、こちらに来ませんかマスター?」
不意に家のドアが開く。今のはラムダか?やっぱり人の気配がするんだかな…
まぁ、ここなら何があってもラムダが処理するだろう。と、煉瓦の家に入る。
………………どういう事だ?
「ど、どうかされましたでしょうか…マスター?」
「ラムダ……なのか?」
「は、はい」
家の中は至って普通だ。何処にでもある昔話の家。釜戸があり、机があり、椅子もある。従ってそんなに驚く事も無い。だが、そこに見知らぬ女性が三指付いていたら話は別だ。
最初に目に付いたのは白い白銀の髪。色素が抜けたり、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ