第六章 Perfect Breaker
一撃の始動
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が翼刀は構えない。
代わりに、口が動く。
「すげえ」
単純。だが、素直で、そして的を得た感想だった。
「いや、ほんとにすげえよ親父。俺も読んでたから技の内容は知ってたけど、出来る気がしなかった。見ればもしかしたら、喰らえばひょっとして・・・・そんなことも考えたけど、やっぱ俺には親父みたいな才能はないみたいだ」
自分はあの翔剣の息子。
ならば、自分ももしかしたら。歴代奥義を、少しでも盗めるのではないか。
そう考えることは、何もおかしくはない。
だが、無理なものは無理だった。
祖父の代――――第十五奥義までならば、見たことがあるからと納得できるが、それ以前の総てを体得した翔剣はやはり「怪物」と言うのにふさわしい。
それを聞き、翔剣は不機嫌そうな顔をする。
「では、今までは本気ではなかったと?」
「ンなわけねー。手を抜いたら死ぬから、全力で避けたし、全力で打った。その中で盗めればいいとは思ったけど、それも無理」
つまり、負けていたのは本当だった。
そこには何一つとして言い逃れできる要因はない。
「だけど、俺はまだ見せてない」
ゴォ・・・・・
翼刀が構える。
左拳を出し、右拳を引く。
上半身を右斜めに向け、腰を落とす。
「親父。これが俺の動不動拳になる。それを―――――受けてくれるか?」
「二回戦、ということか?」
「いや。これは継承のための一つ。セレモニーみたいなもん。だから」
「良いだろう」
そこまで言われ、翔剣は承諾する。
翔剣ならば、喰らってもその衝撃を任意の方向へと飛ばせる。
そこにおごりも何もない。
ただの事実だけがあった。
そして翼刀も、この一撃で彼を倒せるとなど思っていない。
ただ、この技法の体得は必要だから。
それを、見せなければならない。
フゥッ、と息を吐き出す翼刀。
その翼刀に、翔剣は聞く。
「なぜさっきまでの戦いで出さなかった?」
「・・・・これは体得したレベルであって、実戦で使うにはまだ練度が足りないから」
「・・・・まあいいだろう」
儀の内容はあくまでも第一と自身の奥義の体得。
それを戦闘内で見せるものだが、翼刀の戦闘技法はすでに分かっている。そこに口は挟むまい。
「後一つの理由は」
「もう一つ?」
だが、翼刀の理由はそれだけではない。
そこで、彼は挑戦的に、というよりは、悪戯をする時の子どもの様な笑顔でこういった。
「今のうちにしとかないと、第二ラウンドで親父いなくなっちゃうから」
「ほう」
その言葉を、楽しみを見つけたような顔をして笑う翔剣。
どうやら、息子は腑抜け
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ