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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
一撃の始動
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が翼刀は構えない。
代わりに、口が動く。


「すげえ」

単純。だが、素直で、そして的を得た感想だった。

「いや、ほんとにすげえよ親父。俺も読んでたから技の内容は知ってたけど、出来る気がしなかった。見ればもしかしたら、喰らえばひょっとして・・・・そんなことも考えたけど、やっぱ俺には親父みたいな才能はないみたいだ」

自分はあの翔剣の息子。
ならば、自分ももしかしたら。歴代奥義を、少しでも盗めるのではないか。

そう考えることは、何もおかしくはない。

だが、無理なものは無理だった。
祖父の代――――第十五奥義までならば、見たことがあるからと納得できるが、それ以前の総てを体得した翔剣はやはり「怪物」と言うのにふさわしい。



それを聞き、翔剣は不機嫌そうな顔をする。

「では、今までは本気ではなかったと?」

「ンなわけねー。手を抜いたら死ぬから、全力で避けたし、全力で打った。その中で盗めればいいとは思ったけど、それも無理」

つまり、負けていたのは本当だった。
そこには何一つとして言い逃れできる要因はない。


「だけど、俺はまだ見せてない」

ゴォ・・・・・



翼刀が構える。

左拳を出し、右拳を引く。
上半身を右斜めに向け、腰を落とす。


「親父。これが俺の動不動拳になる。それを―――――受けてくれるか?」

「二回戦、ということか?」

「いや。これは継承のための一つ。セレモニーみたいなもん。だから」

「良いだろう」


そこまで言われ、翔剣は承諾する。
翔剣ならば、喰らってもその衝撃を任意の方向へと飛ばせる。

そこにおごりも何もない。
ただの事実だけがあった。


そして翼刀も、この一撃で彼を倒せるとなど思っていない。
ただ、この技法の体得は必要だから。

それを、見せなければならない。


フゥッ、と息を吐き出す翼刀。
その翼刀に、翔剣は聞く。


「なぜさっきまでの戦いで出さなかった?」

「・・・・これは体得したレベルであって、実戦で使うにはまだ練度が足りないから」

「・・・・まあいいだろう」

儀の内容はあくまでも第一と自身の奥義の体得。
それを戦闘内で見せるものだが、翼刀の戦闘技法はすでに分かっている。そこに口は挟むまい。


「後一つの理由は」

「もう一つ?」

だが、翼刀の理由はそれだけではない。
そこで、彼は挑戦的に、というよりは、悪戯をする時の子どもの様な笑顔でこういった。


「今のうちにしとかないと、第二ラウンドで親父いなくなっちゃうから」

「ほう」

その言葉を、楽しみを見つけたような顔をして笑う翔剣。
どうやら、息子は腑抜け
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